DX/OMO/オムニチャネル

様々なECサイトと連携可能な新規ビジネスを実現する
新物流プラットフォームを開発

株式会社ムービング 様

プロジェクト概要

物流ラストワンマイルを「共創」する
店舗受取・返品プラットフォームを開発

丸井グループが手がける店舗で商品を受け取れる物流事業の新サービス

丸井グループの倉庫-店舗間物流機能を、丸井グループだけではなく他社でも利用できるようにオープンプラットフォーム化。マルイのネット通販「マルイウェブチャネル」で多くのユーザーが利用している店舗受け取り機能をオープンに提供することで、マルイに出店していない企業でも利用可能にしました。ユーザーに多様な選択肢を提供するばかりではなく、物流のラストワンマイルで喫緊の 題となっている再配 率の低減にも寄与するなど、社会的に意義ある取り組みとして様々な企業との共創を目指しています。

新規ビジネスを実現する店舗受け取りシステムを開発

新物流プラットフォームの軸になるEC販売商品の店舗受け取りを可能にし、関連する情報管理を行うシステムを開発。クライアント企業の既存ECシステムと、ムービングの配達システム・物流システムを「EC-ORANGE」を使って連携。購買情報と物流情報の連携を強化するとともに、通過拠点や店舗到着後の商品のロケーション管理などを一元管理できるように。
操作性・生産性の高い運用環境を実現するため、エスキュービズム独自の「プロトタイプを用いた用件定義」を実施。通常の要件定義工程に比べて75%の時間で用件定義を完了。実務レベルを含め150%程度の業務カバー率となり、実行作業効率は200%を超える効率の良い開発・設計を行いました。

ムービング様 システムイメージ
システムイメージ
  • 課題・背景

    • 物流機能を自社だけでなく、アウトソーシングする新規ビジネスを模索
    • クライアントECシステムに依存しないサービス提供を検討
    • 店舗・倉庫・物流でのデータ連携を実現し、新しいビジネス環境を構築したい
  • 解決策

    • 単にシステム開発を担うだけでなく、ビジネスモデルに踏み込んだ提案や助言
    • ドライバーや店舗スタッフが使用する集荷や検品アプリと店舗での受付端末をAndroidのネイティブアプリで構築。
    • 既存業務を含めた業務フローの検討を実施
    • ビジネス設計、ビジネス企画に対して、プロトタイプを用いた要件定義などにより、事前確認をしながら検討
  • 効果

    • クライアントのECシステムに依存しないサービス展開
    • 店舗・倉庫・物流のデータ連携によるスムーズなサービス提供の実現
    • システム導入による業務変更を最小限に
    • 効率的なビジネス提供の実現

インタビュー

今回、マルイのテナント企業のEC購入商品をマルイ店舗で受け取れるサービスをエスキュービズムが開発支援いたしました。ご採用頂いた株式会社ムービングの佐藤様、平井様のお二人に、プロジェクトのスタートからシステム開発およびプロジェクト進行、今後の展開まで、経緯と背景を語っていただきました。

ロジスティクス推進本部 事業企画部 部長 佐藤 史彦 様

ロジスティクス推進本部
事業企画部 部長

佐藤 史彦 様

ロジスティクス推進本部 事業企画部 事業企画課 担当課長 平井 康範 様

ロジスティクス推進本部
事業企画部 事業企画課
担当課長

平井 康範 様

小売の精神を持つ物流会社ならではのサービス設計

ムービング株式会社様の事業内容についてお聞かせください。

平井様:ファッションビルなどを傘下に持つ丸井グループの物流を担う会社で創業50年ほどになります。店舗の物流や、倉庫を持ってますので丸井の商品はもちろん保管していますし、丸井以外の会社の庫内業務も受け持っています。近年では、特にEC向けの物流業務に力を入れており、EC向けの専門倉庫も作りまして、倉庫機能の自動化、DX化を進めています。

佐藤様:世の中に多数ある物流会社の中でも、ムービングはどんな特徴があるかというと、ファッションの物流に関して強みを持っているところです。自社で培ってきたノウハウというのは、他社と比べても引けを取らないと思います。
また、働いているスタッフに丸井出身者が多く、店頭接客を経験しているため、スタッフが小売の魂を持っているというところが物流会社として一つ特徴的なところかなと思います。

丸井グループ以外の配送もされているのでしょうか。

佐藤様:内部の事業と外部の事業があり、内部の事業というのは丸井の仕事。丸井のお店のサポートやネット通販のサポートを行っています。 一方で、丸井と関連しての外部の仕事とは、3PL(サードパーティロジスティクス)として荷物をお預かりしたり、他社さんの荷物をルート便で運んだりということをやっています。 ムービングとしてもともと持っているアセットやリソースを有効活用してお役に立てていただきたいと考えて、外部とのシナジーを生み出せるような事業展開をしています。
割合でいうと現在7:3くらいでしょうか。外部事業も徐々に増えてきましたね。

プロジェクトが開始された経緯などお聞かせください。

平井様: 丸井の自社ECの商品を店舗で受け取るサービスが3年ほど前から丸井全店に拡大しました。店舗受け取りサービスがお客様に好評で、さらに「他のECサイトの商品もマルイで受け取れたら便利だよね」というお客様の声もいただきました。同時にお店で受け取れたらその分再配達が減り結果としてCO2の削減につながり、エッセンシャルワーカーの負担も削減されますので社会的な課題解決の一翼にはなれているのかなと思います。
今の丸井グループが目指すグループ全体の方法性に合っているのではないか、ということでマルイ以外の皆様にも利用できるようにオープン化するプロジェクトを開始した次第です。

プロジェクトを推進される上で、どのような課題がありましたか?

平井様: 新しい事業を始めるにあたり、お取引先さまのニーズが実際にどれぐらいあるのかを、ひとつひとつお取引先様と話をして手探りで確認しながら、投資の判断をしていったことです。また、コロナ渦のなかでプロジェクトがうまく進行するか不安も大きかったです。
また、ムービングが実現したいシステムに対して、作りたいものをピンポイントで作っている企業はありませんでした。グループ内にシステム会社がありますので相談はしましたが、使いたい端末機器との連携やスマートなUI、店舗DXなど幅広い知見がある会社となるとなかなか難しかったですね。

DX専業の開発会社ならではのハード・ソフト両面からシステム開発

エスキュービズムを知ったきっかけ、選んでいただいた経緯と決め手を教えてください。

平井様: 丸井グループとしてはコンサルティングでエスキュービズムさんとはお付き合いがあったようで、グループ内で相談した時に、そういう製品を扱っている会社があると教えてもらい、最初に声をかけさせていただきました。提案をいただいてみたら、我々のやりたいことと一番マッチしていたことと、我々が持っていない知見を持っていることが強く感じられました。
グループ内のシステム開発会社でやってやれないことはないですけど、エスキュービズムは小売のDXに専業でやっているだけあって、面白いことをたくさんやっているなと決め手でした。

佐藤様: 佐藤氏:新しいビジネスなので完成形が最初に描けなかったのも課題でした。プロジェクトを進めつつ、お客様のニーズや、事業の拡大に当たって進化をさせていく時に、余白があって拡張性を感じられたのがエスキュービズムさんの提案でした。「ロッカー受け取り」にも実績があり、ハードウェアとソフトウェア、両方見てもらえるかなという期待が強かったですね。

弊社の提案、プレゼンはいかがでしたか。

平井様: 営業担当の方、要件定義担当の方などそれぞれシステム関連にも詳しくて、頼りになるなと心強かったです。その後開発フェーズに入って、夢を語る段階から具体的に落とし込んでいくと機能として難しい部分も出てきましたが、コミュニケーションを取りながら実現に向けて誠意をもってやっていただけましたね。
また、我々もコロナ禍によってWEB会議を始めたので、エスキュービズムさんとのやり取りで議論の進め方を学ばせてもらって、すごく勉強になりました。

開発プロジェクトの進行はいかがでしたか。苦労された部分や、それをブレイクスルーした具体的なエピソードがあれば教えてください。

平井様: 開発段階では想定と違うなと思うところもありましたが、解決に向けて誠意をもってやっていただけましたね。
今回、店頭及び物流のシステムの仕組みにおいて、端末機器が多かったのが特徴でした。単純なソフトウェア開発、WEBシステムを作るプロジェクトではなかったので、ソフトウェアだけでなくタブレット、スマホ、スキャナー、といったハードウェアがあったんです。物流システムや独自機材などエスキュービズムさんの専門外のところは我々がコントロールする必要があり、苦労した点です。ブレイクスルーとまではいってませんが、POSシステムを持っているからかハードウェアについても多様な知識があり、中国製のスマホの基盤に合うアプリを持ってきたり、試行錯誤してやってくれたりと、知見を持っている会社なんだなと感じました。

ドライバーから店舗スタッフまで、全体最適を目指せる一気通貫のシステムを構築

サービスを実際に利用されていかがでしたか。機能面で満足している点や実際に利用されているスタッフの方のお声もお聞かせください。

平井様: エンドユーザーにアンケートを取っており、「システムが使いやすい」「さくさく使えました」というお声はいただいています。ただ、不具合が出た場合は「遅い」「データが二重に出てきた」などのお声もありますし、まだ課題はあるかなというところです。
運用側では、新システム導入当初は若干抵抗もあったようですが利用していくうちに慣れてきたようで、今はうまく運用されています。

業務のやり方については、システムの導入前と導入後では何か変化がありましたか?

平井様: これまではトラックドライバーが使うシステムと店舗スタッフが使うシステムがまったく別々のものでした。今回のシステムの特色として、ドライバー、倉庫での中継スタッフ、店舗スタッフまで、一気通貫して管理できる仕組みを作りました。全体の業務がひと目で分かるようになりましたし、それはお取引先様も含めてみんなが一丸となって取り組むことができるような仕組みになったのかなと。これまでは個別最適を求めるシステムでしたが、新システムによって全体最適を目指せるようになりました。

今後エスキュービズムに期待することはなんでしょうか。

平井様: エスキュービズムさんのいいところって、我々に対しても意見を言うべきことは言うところだと思います。それはできません、難しい、ということも濁さず、はっきり言ってくれるところがすごくありがたいです。それはこっちの方がいいです、とはっきり言ってくれる。こちらも言うことは言える関係性を継続していきたいです。

ソフトウェアの開発はその都度選択肢が様々にありますが、専門職でない我々には情報量が多く、取捨選択するには難易度が高い。ある程度色付けして、選択肢を絞ってくれたのでありがたかったですね。

OMOを物流業界から今後も支援。荷物受け取りシステムで店舗をwell beingでオープンな場に

今後の事業展開、業界でのポジショニングや目指したい方向性などをお聞かせください。

平井様: オムニチャネルシステム、ECで買ったものを店舗で受け取るというのは宅配クライシスの課題解決の一つの方法で、お客様のニーズをかなえるだけでなく、後ろに控える社会にとって役立つものを提供していきたいと考えています。今まで丸井とお付き合いのなかった会社様、お客様とも共創して良い世の中を作って行きたい、というところを目指しています。

佐藤様: いま荷物の受け取りには、再配達や受け取るために待たなければならないとようなマイナスなイメージの方が少し強い印象ですが、それを楽しくハッピーな体験に、そしてウェルビーイングを感じられるものにしていければいいなと思っています。
アフターコロナになったとしても生活や移動の仕方、お買い物の仕方に対して求めるものは以前に戻るのではなく変化を続けるでしょう。今後リアル店舗のあり方も変わってくると思うんですね。その時にECでのお買い物とリアルの場を大事な接点として、丸井やそれ以外にもいろいろな人に使っていただけるオープンな場にしていきたいと思っています。

これからのサービス展開はより拡張性のあるものになっていくということですね。

佐藤様: シンプルにさっと受け取れるロッカー受け取りという方向性もあるでしょうし、ロッカーでは実現できないリアルでの新たな提供価値を、EC事業者さまと共創していくこともやっていきたいと思います。ECで買ったものだけでなく、店舗にある商品をプレオーダーでピックアップするサービスに使えるシステムにしていってもいいと思います。物流企業として、お客様がものを受け取るラストワンマイルをいかにデザインして、より良い体験をお客様に提供するかを追求し、実現していきたいと考えています。

平井様: OMOにはいろいろ解釈がありますが、オフラインの世界をオンラインと同じような感覚で使うということでもあると思っています。オンライン世界の視点でオフライン世界を捉えた時にズレが生じている、というのがアフターデジタルでの課題ではないでしょうか。そして現在のところでは、オンライン的な価値観をリアルに反映したものとしてロッカー受け取りやピックアップサービスなどが考え出されてきたのでしょう。
今後もこのオンラインとオフラインを融合する施策について、物流の面でそれを支えていけるよう力を入れていこうと思っています。

※2021年2月の情報です。
※取材は感染症予防のためオンラインで行われました。