アイスタイル

株式会社コスメ・コム
取締役副社長 経営管理部 部長
朝倉大輔

株式会社アイスタイル
ユーザーサービス本部ユーザーサービス部マネージャー 杉本拓聡
テクノロジー本部ITイノベーション2部チーフ 麹池庸紀

日本最大のコスメ・美容の総合サイトとして、圧倒的な知名度、信頼感を誇る@cosme。@cosmeの姉妹サイトで、化粧品、美容領域に特化したECサイトが2015年10月にフルリニューアルした。リニューアルのタイミングでECサイトの名前も「cosme.com」から「@cosme shopping」に変更。さらにこれまでの仕入れ商品中心の販売に加え、マーケットプレイス型の出店も可能となり、今まで以上に幅広いブランドが商品を出品できるECサイトに進化した。@cosmeの1300万ユーザーのうち、100万人ほどが買い物を楽しむという同サイトは、今回のフルリニューアルで何を目指したのか。リニューアルプロジェクトの関係者たちにお話をうかがった。

  1. 短期間のスケジュールでフルリニューアルを完了

  2. シンプルで柔軟性の高いデザイン。ブランドごとにカスタマイズも可能

  3. 高級ブランドからプチプラまで、幅広い品揃えを実現

  4. 海外展開を含めた今後の取組みへのファーストステップに

10年使ったシステムをリプレイス。
よりフラットなECサイトとして進化

@cosmeがオープンしたのが1999年12月。「cosme.com」はその3年後の2002年11月に化粧品ECサイトとしてオープンした。当時、構築したシステムはいくどかのリニューアルをしたものの、基本的なプラットフォームは変更せずに、リニューアル前までオープン当時のシステムを活用していた。「以前のシステムは、カスタマイズしながらうまく使っていましたが、プラットフォームが古かったので完全なリプレイスの必要がありました。」と語るのは、株式会社コスメ・コム取締役副社長の朝倉大輔氏だ。

リニューアルでは、@cosme本体と連携を強化したいという思いもあり、思い切ってECサイトの名称も「cosme.com」から「@cosme shopping」に変更した。@cosmeを運営する株式会社アイスタイルの杉本拓聡氏は、「EC部門と@cosmeのシナジーをさらに効かせるにはどうすればよいか、ということを念頭にプロジェクトのディレクションを担当した」という。

今回のリニューアルで最も大きなインパクトがあったことが、マーケットプレイス型ECサイトとして生まれ変わったことだ。以前の「cosme.com」はバイヤーがイチオシ商品を売る「セレクトショップ」だった。リニューアルで、ブランドが自身で商品を出品できるマーケットプレイス型ECサイトにした理由について、朝倉氏は「フラットなECサイトにしたかった」と説明する。 フラットなECサイトとはどういうことだろうか。「@cosmeはユーザー視点のクチコミをコンテンツとする完全な中立サイトです。だからECサイトもセレクトショップ型でバイヤーのイチオシ商品を販売するのではなく、幅広いブランドがフラットに商品のよいところを伝えられるECサイトにしたかったんです」と朝倉氏と答えた。

百貨店取り扱いブランドからプチプラまで
約1,500ブランドの品揃えを実現

リニューアル後は、ブランドは、従来通りコスメ・コム社に商品を卸して販売することもできるし、ブランドとして「@cosme shopping」のショッピングモールに商品を出品する「マーケットプレイス型」で販売することもできるようになった。「ブランドに2つの選択肢を提供できるようになったことの意義は大きい」と朝倉氏。
背景には、化粧品業界独特の流通システムがある。朝倉氏によれば、食品や洗剤などの日用品と異なり、化粧品はブランドが「流通チャネルを絞って販売する」とのこと。例えば百貨店と専門店のみでしか販売しないというように、販売チャネルを選択しそれ以外では販売しないのだ。

「ブランド自身がプラットフォーム上で出品できれば、ブランドも参加しやすくなる」と朝倉氏がマーケットプレイスの意義を語る。メリットがあるのは販売チャネルを絞っているブランドだけではない。「従来の『cosme.com』ではお断りせざるを得なかったブランドに対しても、『@cosme shopping』としてもう一度お声がけすることができた」(朝倉氏)。
選択肢が増えたこともあり、リニューアル前後で百貨店取り扱いブランドである「ディオール」や「ドルチェ&ガッバーナ」、オーガニック・ナチュラル系ブランドの「ジョンマスターオーガニック」「パンピューリ」などが新たに加わり、約1,500ブランド、14,600製品の品揃えとなった。まさに「@cosme shopping」のタグラインでもある「みんなの欲しいを叶えたい」を実現したのだ。

ベンチャーならではのスピード感あるリニューアル

今回のリニューアルは短い期間でリリースすることが要件だった。2月に業者選定、3月に要件定義、4月に開発着手、6月に管理画面のリリース、10月に本オープン、というタイトなスケジュール。といっても、アイスタイル社、コスメ・コム社にとっては、特別なことではないようだ。「ベンチャー企業なので、決めたらすぐに実行するという文化」と朝倉氏が言うように、彼らにとっては標準的な開発スケジュールだった。

「このスピードにOKをしてくれたのが。スピード感だけでなく、未確定の要件にも柔軟に対応できることが大きかったです。」と杉本氏。さらに「提案を受けた時に、パッケージに含まれていない機能であっても、別の案件で開発した実績があるので、それを流用すればできるというように、実現できる・できないを明確にしてくれたこともよかったです。彼らなら信頼できると任せることにしました」と選定した経緯を説明する。
なお、このスピード感で対応できたことの背景には、コミュニケーションを密にしながら開発を進めたことがある。「週に1回のミーティングで、認識のズレ、仕様の漏れを防ぐために、双方が納得いくまで機能の詳細について話しあい、仕様に落とし込んでいきました」と杉本氏。

ただし、スケジュールのこともあって要件から落とした機能もあった。リニューアル後、落とした機能の中に、実はユーザーがよく使っていた機能があったことが判明。前身となるcosme.comの開発担当者だったアイスタイルの麹池氏は「商品をお気に入りに登録する機能、次の会員ランクに上がるのに必要な購入金額の表示機能などについて、お問い合わせをいただきました」と振り返る。これらの要望の高い機能は、リニューアル後3ヶ月程度で実装でき、さらに使いやすいECサイトになった。

こだわったのはシンプルで柔軟性の高いシステム

今回のリニューアルでこだわった点が「シンプルなデザインであること」と杉本氏。シンプルだからこそ、カスタマイズしやすく、出店するブランドが自身のブランドイメージを表現できる。「ブランドのイメージに合わせて、パーツ、ページ構成を柔軟に変更できるので、ブランドの担当者の評価も高いです」と杉本氏は笑顔を見せる。ブランドごとにカスタマイズできることで、これまで商品を卸さなかったブランドが出店するようになったのだ。

また、トップページでは以前は売れているものを一律に表示していたが、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴からパーソナライズしたレコメンドを表示するようにした。

リニューアルにあたっては、@cosmeとデータ連携をしやすくするために@cosme shoppingのデータベースの構成を@cosmeのそれにあわせるようにした。「お客様が@cosmeのクチコミを参考にしながら、気に入った商品を探せるのが大きな強み」と杉本氏。

さらに、リアル店舗として展開する@cosme storeのポイントとECサイトのポイントは連動できるようにしている。今後は、店舗での受け取りなども目指しているそうだ。

日本だけでなく、世界を視野にさらなる成長を目指す

「@cosme shoppingのリニューアルで、今後の展開に対して柔軟に対応できるようになり、大きく飛躍できる第一歩に立てた」と朝倉氏。

海外展開の施策はアイスタイルグループ全体で取り組んでいる。T-mallやREDの越境ECや、 @cosme shoppingでの海外発送など、すでに中国でサービスを提供しているECサイトの売上が順調であり、今後はリアル店舗である@cosme storeの海外展開も視野に現地調査などを行っている。また、すでに日本語の@cosmeの翻訳を提供しているが、今後は各国のユーザーが各国の化粧品についてクチコミできる@cosmeの各国語版の展開も検討中とのこと。

「@cosmeはユーザーの認知、信頼が高いだけでなく、化粧品ブランドからの信頼もあり、パイプも太い。@cosmeの姉妹サイトということを活かして成長させて、化粧品のECサイトだったら「@cosme shopping」と言われることを目指したいです。日本だけでなく、世界一のポジションを狙っています」と朝倉氏は今後の展開にも自信をみせた。

@cosme shopping

http://www.cosme.com/

日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)の姉妹通販サイトである@cosme shopping。@cosme shoppingのプラットフォームにブランドが商品を出品するマーケットプレイス型ECサイト。