株式会社ファミリア

マーケティング本部 中村 信之 様

「for the first 1000days」——子どもの成長にとって大切な妊娠期から2歳までの1000日間をより良いものにする、という考え方に基づき、子どもはもちろん、ママにとっても嬉しいブランド体験の提供に力を注ぐベビー・子ども関連ブランドのファミリア。その企業理念は、国内企業の先駆者として推進している高次元なオムニチャネル戦略にも色濃く現れています。

2016年にシステムの導入とデータベースの統合から始動した同社のオムニチャネル化プロジェクトは、約3年経った今、新たなフェーズを迎えています。プロジェクトを推進する中で直面した課題や、オムニチャネル化を実現したことによるベネフィット、さらにはファミリアが目指す未来像まで、マーケティング本部の中村信之さんにお話を伺いました。

  1. 来店頻度向上と購入単価アップを実現したオムニチャネルシステムの構築

  2. 在庫の一元管理によって在庫リスクの軽減と業務効率化も実現

  3. CRM強化のためのデジタルマーケティングを提案

  4. オムニチャネル化推進パートナーとして長期に渡りプロジェクトに伴走

オムニチャネル化推進の中で直面した課題

——2016年にORANGE POS、EC-ORANGE導入の他、データベースを統合するなど、オムニチャネル化構想をスタートしてから約3年が経ちました。これまでどのようにプロジェクトを進行してきたのでしょうか。

中村氏:弊社では、オムニチャネル化を3つのフェーズに分けて進めるという計画でしたが、ほぼ予定通りに進行しています。2017年度のはじめにはデータベースの統合も完了し、まずは旗艦店の3店舗でオムニチャネルをスタートさせました。ここまでがフェーズ1です。

フェーズ2では導入店舗を順次拡大し、お客様との結びつきを意識したCRMの強化を行う段階だったのですが、ここである課題に直面しました。

——どのような課題だったのでしょうか?

中村氏:いざオムニチャネルが始まってみると、それが便利なものというよりも、今までなかったサービスなので、お客様が二の足を踏んでしまい、利用率が10%を切るような低い状態が続きました。

そこで、オムニチャネルのサービスを一度体感いただけるようなキャンペーンを重点的に展開し、利用率の向上を推進してきました。その結果2017年の中ごろから目に見えて利用率が高くなってきました。

すると面白いことに、一度ご利用されたお客様自ら、自宅配送やECからの取り置きなど、オムニチャネルのサービスを所望されて、どんどん使いこなしていくようになっていったんですね。今ではショールーミングやウェブルーミングも弊社では普通のことになりました。

こうして、フェーズ2のテーマでもあったCRMの強化も実現することができ、オムニチャネルを体感すればお客様の来店頻度や購入単価が上がるということが実証されました。

それで2018年以降、ようやくフェーズ3、お客様のライフスタイルに合わせた施策の実施に取り組める段階になったのです。

顧客の体験価値が高まり、
スタッフの意識もポジティブに変化

——その中でエスキュービズムのシステムが貢献できている部分はありますか?

中村氏:店舗ではシーズンごとに「ファミリアショー」という、期間・店舗限定のイベントが行われます。その際、来場者しか買えない限定商品が販売されるのですが、これまでは限定商品を買いたいお客様が、毎回オープン前に朝一番から並ばれる、という状況でした。そこで、2018年の改修によって限定商品を事前に予約して取り置くことができるサービスを実現したのです。

事前予約のためには、システム上で店舗を限定する、商品を限定する、予約する、という3つが必要になるのですが、スタート当時のEC-ORANGEにはその機能が備わっていなかったので、その部分の改修がポイントでした。

限定商品を取り置きできるようになったことによって、お客様は店舗で様々な体験をして、最後に限定商品を受け取って帰るというゆったりとした時間を過ごせるようになり、かなり満足度が高くなりましたので、このシステム改修はすごく有用なものになっていると思います。

——オムニチャネル化をスタートする前後で業務面やスタッフの意識などに変化はありましたか?

中村氏:スタート当初は、店舗で使用するタブレットなど未知なものに対するスタッフの不安は少なからずありました。しかし、練習期間を設けたり、実戦投入している店舗に研修に行くことでその不安をひとつずつ解消していきました。

オムニチャネルをやれば自分たちの単純作業が減るよね、お客様にお伝えできる具体的なメリットがあるよね、ということが理解できるので、拒否反応が無くなります。拒否反応がなくなれば、スムーズに利用できるようになり、利用がスムーズに行けば自然とそれがスタッフ達のネットワークで他店舗にも広がっていきます。今年もまた大規模な導入がありましたが、今は不安や不満の声などは上がってきません。

業務面では、在庫の一元化ができるようになり、たとえ在庫が店舗になくても、新しいものを弊社の物流センターから直接お客様のご自宅にお届けできますよ、ということをすすめられるようになったので、在庫リスクを抑えられるのも大きいですね。

オムニチャネルの本質を
具現化する体験型「神戸本店」

——「体感型店舗」として2018年に移転・リニューアルした神戸本店は、オムニチャネル化構想の中でどんな役割を担っているのでしょうか?

中村氏:弊社には「子どもの可能性をクリエイトする」という企業理念があります。神戸本店は「COLORFUL 子どもの個性を豊かにはぐくむ。」というコンセプトを基に、様々な形で子どもとママに関する全てがそこで体感できればいいなという想いで始まったのがこのプロジェクトです。

「モノ、コト、マナビ」を三本柱にして、お買い物はもちろん、素材にこだわったレストランでお子様もママと同じものを食べられたり、ママのためのリラクゼーションがあったり、「LABO」という子どもの体験教室や「アトリエ」というものづくりのワークショップ、さらには「ファミリアメディカル神戸クリニック」という完全予約制の小児科・皮膚科も入っていますので、お買い物と合わせてお子様の予防接種や育児相談に寄ることも可能です。

神戸本店の様々なコンテンツの予約システムの構築についてもエスキュービズムさんにお手伝いいただき、「ReservationEngine」というシステムを用いて全てのコンテンツのご予約が可能になっています。さらに、神戸本店の入り口にサイネージを設置し当日の空き状況も確認できるようになっていますので、ご来店時にチェックする事も可能です。

神戸本店で体験できるこれらは全て、オムニチャネル構想の中でCRMにおいて非常に重要なお客様とのタッチポイントになっているのです。

——神戸本店ではオムニチャネルの本質的な部分を具現化できているわけですね。

中村氏:そうですね。何をお買い上げになったのか、どんなイベントに参加したのか、妊婦さんの週数やお子様の年齢などをDBで一元管理できますので、お客様に合わせてタイムリーな情報を発信することが可能になっています。

そのためにはコンテンツの設計も含めたデジタルマーケティングが重要になってきますが、エスキュービズムさんにはその部分についてもお手伝いいただいています。今はまだファミリアをご存知ない方たちが、それぞれ悩まれたり気になっていた情報をキッカケにファミリアと出会えってもらえるようになればと思っています。

CRMのさらなる強化と、
産院と組んだ顧客接点の拡大

——今後の展望を教えてください。

中村氏:目の前のことで言えば「CRMのさらなる強化」と「アプリの改修」が挙げられます。

エンゲージを深めればお客様の回遊率が上がることは実証されているのですが、そのためにCRMの進化が欠かせません。今はメールによる情報発信が主たる手段となっているのですが、今時はメーラーを開いて逐一メールをチェックする人の方が少ないと思っています。やはりLINEやSNSなど、時代に即した通知の仕方を取り入れていく必要があります。

そこに紐づいて2番目に挙げたアプリの改修があるのですが、ファミリアファンの方ならアプリがあれば他には何も必要ないという状態を作りたいと思っています。その中にはコンテンツもあるし、全ての店舗の情報やサービスもそれ一つで大丈夫というアプリを目指していて、そのための要件を今エスキュービズムさんと詰めているところです。あと、やはりこれからはキャッシュレスが主流となる時代もやってくると思うのでそれも実現したいですね。

それからロングタームで取り組んでいくものとしては「サポートクリニック」という取り組みがあります。これは、「医療」の産院と「衣料」のファミリアがお互いの強みを生かして連携し、ママとあかちゃんのかけがいのない"1000days"をトータルでサポートする取り組みを行っています。ORANGEの導入とほぼ同時期の2017年からスタートしたのですが、これまで「サポートクリニック」の中で構築してきたDBが独立してしまっているのです。それをORANGE内で連携させお客様DBと掛け合わせたものがCRMで活用できる形に持っていきたいですね。将来的には、産院でもオムニが利用できるなど、新しいチャネルでもお客様と接点を作っていければと思っています。

——越境ECなども取り組まれていますが、今後、海外進出も積極的に進めていくのでしょうか?

中村氏:私たちには「世界で最も愛されるベビー・子ども関連企業」というビジョンがありますので、チャンスがあれば積極的に取り組んでいくことだと思っています。ただ、現在は海外のお客様が顧客登録できないなど、国内に特化した仕様になっています。近い将来、この改修もエスキュービズムさんに手伝っていただきたいですね。

今は優先順位的に国内のお客様のエンゲージメントを深めるということにフォーカスしていますが、その成果が出たら次は海外にもフォーカスするというように、どんどんフェーズが変わっていくと思います。その頃には「サポートクリニック」のシステムも完成していると思いますので、海外の産院でもクリック&コレクトができるようになる、というようなことをどんどん実現していきたいですね。

ORANGEシリーズは企業課題の解決と
共に進化し続けるシステム

——様々なプロジェクトを推進していく中で、今後のエスキュービズムに期待されていることは何ですか?

中村氏:エスキュービズムさんは、オムニチャネルを推進する中で、私たちが課題としつつ自分たちでは形にできないところを一緒に作っていただける、なくてはならないパートナーです。

私たちは他社に先駆けてオムニチャネル化を進めてきたので、「今目の前に見えている未来」が当たり前ではいけません。

「ORANGEシリーズ」というシステムに完成形はないと思っているんです。もっと機材をコンパクトに、よりスムーズな操作でお客様に寄り添うシステム、スタッフの悩みを解決するシステムなど、今後も様々な課題が生まれてくるでしょう。その中でより良いものを追求しながら、ORANGEも進化し続けるのだと思います。課題解決の傍にORANGEがある限りエスキュービズムさんがいないと物事は進まないので、これからも密にコミュニケーションを取りながら色々な相談をさせていただきたいですし、様々なご提案をいただきたいと思っています。

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ファミリア公式HP
https://www.familiar.co.jp/