金融業界特有の高いレベルの要求に応えた開発。
バックエンド業務を効率化し、規模を拡大しても運用負荷を増やさないシステム作りも実現。

株式会社丸の内よろず 様

三菱UFJフィナンシャル・グループのビジネスサポートや、グループ社員・OB会員へのサービスを行う丸の内よろず。会員制ECサイト「丸の内よろずネットショップ」のリニューアルに「EC-ORANGE」を採用。金融業界特有の高いレベルの要求に応え、バックエンド作業を自動化するなど業務の効率化に成功した。

  • 課題・背景

    • 「丸の内よろずネットショップ」の認知度、利用度の向上に伴い、営業力と事務作業の効率化の両面を強化したかった
  • 解決策

    • 拡張性が高く、追加要件を柔軟に取り込めるECパッケージ「EC-ORANGE」を採用
    • EC業務の先進ノウハウ、ユーザー固有の要望を実現するため、「EC-ORANGE」をカスタマイズ
  • 効果

    • 紙ベースで処理していた発注フローの自動化、入会フローの簡素化、商品登録の自由度拡大による紙ベース注文からのネットシフトなど、事務作業を効率化

インタビュー

三菱UFJフィナンシャル・グループのビジネスサポートや、グループ社員への福利厚生的なサービスを行う丸の内よろず。グループ社員やOB会員、そのご家族が利用する会員向けECサイト「丸の内よろずネットショップ」のリニューアルは、今後事業拡大していく上での中心施策となるものでした。EC-ORANGEをご採用頂いた背景や、金融業界特有の高いレベルでの要件定義から実際の開発まで、システム部の岡様、塚田様と、実際にネットショップを運営するリテール営業部の竹下様、長田様にお話を伺いました。

三菱UFJフィナンシャル・グループの社員とOB会員限定のECサイトの構築

まずは、御社の事業内容からお聞かせください。

竹下様:弊社は90年の歴史を有する企業で、元々は、川崎第百銀行(現:三菱UFJ銀行)の関連会社として発足し、当時から不動産事業を展開してまいりました。昭和28年から物品販売業務に従事しはじめ、銀行や関連会社向けに商社的なビジネスを展開。さらに三菱UFJフィナンシャル・グループの社員やOB、そのご家族を対象とした個人向けビジネスとして物販業務を開始し、化粧品や食料品、日用品、贈答品などを提供しています。

長田様:法令上制限があるモノ以外は、ありとあらゆる商品をご用意しています。また、物販だけにとどまらず、冠婚葬祭やレジャーなどのサービス領域、さらに不動産のご紹介まで、幅広く対応しています。

利用者にとって、どのようなメリットがございますか?

竹下様:完全なクローズドマーケットのため、商品を提供いただくMUFGのお取引先にとっては、一般のマーケットで値崩れを起こす心配なく、弾力的な価格設定ができるというメリットがあります。また、購入する会員様としては、安さに加えて、私たちが吟味した、きちんとした商品を入手できるというメリットがあります。

ところが、これまではグループ内でも私たちが提供しているサービスの認知が進んでおらず、ポテンシャルとしては10万人ほどのマーケットがありながら、なかなかそれを活かしきれてはいないという状況にありました。その課題を解消するために、全国に散らばる拠点に効率的にアプローチができるWEB通販を中心に据えて事業拡大をはかろうと考え、丸の内よろずネットショップの刷新を計画。営業力と事務作業の効率化の両面を強化するという目標を掲げてプロジェクトを走らせたのです。

拡張性を重視したベンダー選定

ベンダー選定はどのように行われたのですか。

塚田様:プロジェクト全体の相談役として入ってもらったコンサルタントに、ECパッケージを持っているベンダーさんやオープンソースでの開発ベンダーさんをいくつかご紹介いただきました。その中にエスキュービズムさんのEC-ORANGEが候補としてあがっていました。まずは、RFP(提案依頼書)を社内で作成して、各ベンダーさんに依頼して、ご提案をいただこうと考えました。実際にこのネットショップを活用するリテール営業部のメンバーも交え、基盤に近い部分はシステム部が、サービスに近い部分はリテール営業部がという具合に切り分けつつ、顔を突き合わせながら一緒にRFPを作成しました。

最終的にエスキュービズムを選定した理由は?

塚田様:今回、もっとも重視したのはパッケージそのものの拡張性です。"リリースして終わり"ということはなく、将来的に必ず追加要件が出てきます。その、追加要件を柔軟に取り込めるような仕組みになっているかどうかが選定のポイントとなりました。
追加要件が具体化した時に、それが後からでは追加しにくい仕組みだったり、カスタマイズのコストがかかったりというようなことは避けたかったのです。

もちろん、他のベンダーさんも"ウチのシステムは拡張性が高い"といってはきます。でも私たちは、その根拠を提案書に示してもらうようお願いして、精査をさせていただきました。
さらに気になったのは開発体制です。当社の要員も限られていますので、当社が複数のベンダーとおつきあいするのではなく、プロジェクト全体をコントロールしてくれる会社さんとおつきあいしたいという意向がありました。エスキュービズムさんは、その二つの条件を満たしてくれる企業でした。

金融システム構築と同レベルの要件定義を実施

プロジェクトの進行については、いかがでしたか?

塚田様:できあがってから、そうではなかったとなると、大きな手戻りになりますから、それは避けなければなりません。特に要件定義の段階では、リテール営業部がやりたいことを全部網羅しているか、RFPに書いてある要件がすべて網羅されているかは細かく確認しながら進めていきました。

岡様:とはいえ、RFPは書き物ですから、人によって解釈が異なります。そこから手戻りが生まれ、スケジュールが遅れていくものですから、常に解釈の差異を確認しながら進めていきました。私たちは銀行のシステム部を長年経験し、上流工程を重視する姿勢が身に染み着いています。

上流工程の固まりが緩ければ緩いほど、後になって手戻りの負荷が大きくなるという、痛い思いを多々経験してきましたからね。今回のプロジェクトの場合、業務要件の取り込みに関しては、要件定義フェーズを重要視し、相当時間を割いた上で実際のものづくりに取りかかりました。

竹下様:エスキュービズムさんは、要件定義から基本設計までのフェーズにおいて、私たちの話によく耳を傾けてくれ、一緒になって進めてくれました。

岡様:そうですね。設計段階においてしっかり詰めておいたので、大きな検討漏れなどはありませんでした。しかし、行間を読むというか、"本当はこういう意図で使いたかったのに"という、細かな要望に対して、もう一歩理解が足らないという部分も正直言ってありました。

元々、ECパッケージなので、カスタマイズができる範囲に限界があります。それは理解しつつも、そこは私たちからは見えにくい部分でもありました。開発のスピードやコストを考えると、一定の満足は得たように感じています。

長田様:きっちり徹底的に要件定義を固めるのは重要です。私も昨年、銀行を卒業して、この会社に入ったばかりですが、以前もユーザー側にいたので、銀行のシステムの作り方には長年慣らされていて、初期段階はずっと缶詰になって検討をしていくのは当たり前のことと認識していました。

要件定義を詰めていく段階で、こちらのイメージもどんどん固まっていきますから、ある一定の期間において議論を重ねることは重要だと理解しています。今回のプロジェクトは、銀行のやり方に近いものはあったのですが、銀行業務とは異なり、ECという分野はほぼ未経験。エスキュービズムさんから教わることもたくさんありました。

塚田様:特に当社の場合、普通の物販だけでなく、ECの標準パッケージには搭載されていないような機能の追加もリクエストしていました。たとえばOBの中でご逝去された方の一覧を掲載するなど、OB会からのお知らせ機能も必要です。こういったECライクではない機能をパッケージの中にカスタマイズしてすべて取り込んでいただきました。

長田様:今回のリニューアルで一番大きく変わったのはバックエンド部分です。以前のシステムでは、WEBで注文を受けてから先、仕入先に発注するフローはすべて紙ベースの処理を行っていて、検印をしてファックスで送るというかたちをとっていました。そこをどのように自動化するのか、仕入先とどのように連携をはかっていけばよいのか、私たちにはその知識がありませんでしたので、仕入先にヒアリングをし、エスキュービズムさんにアドバイスをいただきながら、そこを改善できたのは非常に大きな成果だと思っています。

塚田様:結局、売上をあげるためにはたくさんの注文を受けなくてはなりませんし、会員も増やさなくてはいけません。そのためには入会のフローも簡素化しなくてはならないし、注文が増えると同時に運用の負荷が大きくなってもいけないわけで、相反する両方の条件を満足させる必要がありました。

高い要求に真摯に応えてくれた

進行上の課題もあったようですね。

岡様:基本的には最後まで順調にスケジュールが進んでいったのですが、最終的なテストのフェーズで我々が求める要求品質を満たしていないことが判明しました。クローズマーケットの、ちょっとしたECサイトとしては、確かに私たちの要求レベルは高かったかもしれません。

しかし、クローズマーケットとはいえ、お客様の目に触れるもので、お金を出して商品を買ってもらうサイトですから、やはりいい加減なモノは出せません。ましてや、今後、ECサイトを活用して業容を拡大しようと思っているのですから、とにかくビジュアルも含めて良いモノをつくっていかなくてはならないという意識はあって当然です。

塚田様:なぜ、そういう状態になったのか、その、"なぜ"の根本的な部分を直さなければ、何度も同じミスを繰り返し、無駄な時間が費やされるだけになってしまいます。人数が足らなかったのか?エンジニアのスキルの問題か?コミュニケーションの問題なのか?そういった部分までブレイクダウンして突き詰めて報告をいただきました。そのうえで、きちんとした対策を打つという論理的な説明に私たちも納得。そこで共通認識を持つことがでたので、それ以降の改善についてはスムーズに進行しました。

最後に、今回のプロジェクトにおけるエスキュービズムの評価と、今後の展望についてお聞かせください。

岡様:開発において、特に後半は、あの厳しいスケジュールでよくぞ、最後まで誠意を持って対応してくれたと感心しています。非常に感謝しています。しかし、このECのシステムは、未来永劫、このままでOKというわけにはいきません。業務の拡大や周囲の環境、インフラが変わっていく過程で、さらなる発展、レベルアップは必要となります。そこはぜひ、エスキュービズムさんに今後もご協力をいただきたいところです。
また、ECを取り巻く世の中の流れや技術動向に対して、私たちは決してアンテナが高い方ではないと自覚しているので、そういった情報を含めて、今後もアドバイスをいただければと思っています。

塚田様:こちらの言うことをとても真摯に聞いて、理解したうえで、開発を進めていただきました。逆に言えば、真摯に聞いていただきすぎて負荷がかかってしまったのかな?という懸念もありますが、何とか私たちの要望を実現しようと検討してくださったことに感謝しています。
今後も、一つひとつのフェーズをきちんと固めながら進めていくという、私たちの開発手順は、たとえ後任者がきても変わらないと言うことをご理解いただければと思います。

長田様:我々は、このEC業務に関しては素人同然で、ノウハウや情報も少ないと自覚しています。今後も色々とアドバイスをいただきながら、ユーザーの要望を実現するために、"このような手法があるよ"とご提案をいただきたいですね。

竹下様:開発の過程で厳しい時期はありましたが、できあがったものに対しては非常に満足しています。今のところ大きなトラブルもなく、デザインもユーザビリティもおおむね、会員の皆さんから高い評価をいただいており、世の中のECサイトと見比べても遜色のないものができあがったと思っています。ただ、私どももまだ完全に新機能の活用はできておらず、これからいわば「熟成」の時期に入りますが、引き続きエスキュービズムさんにお手伝いいただきながら、このシステムをフルに活用できるようにしていきたいです。今後ともご支援をいただければと思います。

株式会社丸の内よろず

三菱UFJフィナンシャル・グループのビジネスサポートや、グループ社員への福利厚生的なサービスを行う。「丸の内よろずネットショップ」は、グループ社員やOB会員、そのご家族を対象とした会員制ECサイト。

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