複雑なカスタムオーダーを受注できるECサイトを構築
ユニフォームネクスト株式会社 様
ユニフォームネクスト株式会社 様
現場作業・工場向けの「ワークユニフォーム」、事務、オフィス・ホテル向けの「オフィスユニフォーム」、医療・介護・サロン向けの「クリニックユニフォーム」、厨房・飲食向けの「フードユニフォーム」と業種に合わせた4つのカテゴリーに分けてユニフォームをオンラインで販売。
毎日着用するユニフォームだからこそ、最適なものを選んでいただくためにデザイン・機能・素材まで、きめ細かな選択肢をそろえた商品をラインナップ。刺繍やプリント加工ができるなど、企業やお店に合わせた自由度が高いオリジナルのユニフォームを購入できます。
エスキュービズムでは、これらの商品購買を実施する専用サイト4サイトを同時並行で開発、ご提供をさせていただきました。
EC-ORANGEを使用して4サイトを同時並行開発しリプレイスを実施。まず何よりも、全サイトでの受注情報、管理情報、在庫、売上、ステータスなどを統一化することで、情報管理のしやすい環境を構築し、業務効率の向上を実現しました。
その上で、刺繍やプリントなど詳細な設定でユニフォームのカスタムオーダーを受けられるカート機能を実装し、加工方法や加工内容で価格設定が違うなど、商品ごとの様々な加工注文に対応するUI、カート機能を実装することで、ユーザーが商品のカスタマイズを手軽に、わかりやすく実施できるようになりました。
また、管理画面では、電話やFAXでの受注をコールセンターなどで効率的に把握、管理、受注登録できる管理画面も整備。以前はバラバラだった受注データの統合を実現することで、オムニチャネル化を推進し、幅広い業務にも対応できるシステムを構築しました。
仕事着としてユニフォームに求められる機能やデザインを兼ね揃えた商品を販売しているユニフォームネクスト株式会社。インターネットでの販売を中心に全国の企業、店舗、個人様への現場作業・工場、事務、オフィス・ホテル、医療・介護・サロン、飲食など幅広い業種へ業務用ユニフォームを提供しています。エスキュービズムでは、今回これらの商品購買を実施する専用サイト4サイトを同時並行で開発、ご提供をさせていただきました。
今回は同社のシステム部 システムグループ 開発チーム リーダーの武安様に、開発プロジェクトがスタートした背景や課題、開発時に苦労した点などについてお話を伺いました。
ユニフォームネクスト株式会社様の事業内容はどのようなものでしょうか。
弊社は「ワークライフをハッピーに!」という経営理念を掲げており、業務用のユニフォーム販売を通して働く方のモチベーションの向上や、お客様の業績向上を目指しています。
全国販売の窓口としては、一つはECサイトでのWEB注文、もう一つはカタログやメールなどDM送付からはじまる電話やFAX、メールでの注文、また営業部門による訪問営業での注文と、様々な形で業務用のユニフォームを販売しています。
弊社の強みとして、「売れ筋商品の豊富な在庫確保および自社工場で加工」による商品のスピーディーなお届けが可能であるという点があります。
今回のプロジェクトがどのような背景で開始されたのか、経緯や課題について教えてください。
以前のシステムではASPサービス(※1)を導入していましたが、大きな課題が2点ありました。
一つはカスタマイズが困難だったことです。お客様の要望や、社内で生まれる新企画、改善提案などに柔軟に対応できないのが大きな課題でした。
もう一点はASPサービスでは事業拡大のボトルネックになってしまっていたところです。カートシステムの他にもバックオフィス側でASPのサービスを利用しており、ASP同士を連携させるためにさらにASPのカスタマイズサービスを利用、というような構成になっていたため、連携部分が受注増に耐えられないという状況になりつつありました。改修にコストがかかる事はもちろんですが、そもそもカスタマイズできないという場合もあり、やりたいこと、しなければならないことが実現できない状況になっていました。
この2点を解消し、未来への投資としてアクセスに耐えられるシステムを構築しようということが、本プロジェクトが開始されたきっかけです。
※1: Application Service Providerの略。エスキュービズムのシステムはパッケージ型のためカスタマイズが自由にできるが、カスタマイズの範囲を限定またはなくし、システム費用を抑えたASP型のECシステムも多数存在する。
プロジェクト推進のうえでは、どのような課題がありましたか?
業務用ユニフォームを販売する上で、ロゴをプリントしたり、刺繍を入れたりと商品に対する加工が必要になってきます。この加工に関する注文をASPサービスでは実現しにくく、旧システムではカートシステムとは別の外側のカスタマイズサービスという位置づけだったため、お客様にとっては直感的に操作できない、購入しにくいシステムになっていました。購買導線の途中で体験が途切れるため、わかりにくいばかりか、離脱が発生しやすく、販売機会の損失につながっていました。
今回、EC-ORANGEを導入するにあたり、購入導線と加工の入力というところをシームレスに、かつお客様に使いやすいようにカスタマイズすることを大きな目的・ゴールとして設定し、課題解決を目指しました。
エスキュービズムを知ったきっかけや、選んでいただいた決め手を教えてください。
ECパッケージやベンダーの選定にあたり、カスタマイズ性が高く、ソースコードを開示しているパッケージがないか、という観点で探しました。そこでリストアップされたのがエスキュービズムさんのEC-ORANGEでした。
カスタマイズ性の高さ、拡張性、自由度のあるパッケージかどうかが選定基準となりました。特にソースコードが開示されている、ベンダーロックインの縛りがないことで、日々の要望や改善案にスピード感を持って対応できるところが重要な決め手となりました。
また、導入実績が豊富で、新しいテクノロジーや概念などを積極的に追いかける姿勢を見て、弊社の良いパートナーになってくれるのではないかと感じた点もエスキュービズムさんを選んだ理由です。
エスキュービズムのプレゼンはいかがでしたか。
プレゼンの際に印象的だったのは、既存のサイトについても事前に確認されていて、課題を洗い出して既存サイトの改善案も含めたご提案だったことです。これから新しいシステムを作るという時に、既存サイトの改善までご提案いただけたことで、高い意欲を感じました。このプロジェクトでよりよいものをどんどん作っていけそうだと確信できました。
開発プロジェクトの進行はいかがでしたか。苦労された部分など、それをブレイクスルーした具体的なエピソードがあれば教えてください。
要件定義の段階では、機能追加を要望した時にQCD(※2)の部分に影響があるか、という観点で判断いただけたことが良かった点です。今回導入した弊社システムは本来のEC-ORANGEのカバーする範囲の機能から広げたものを実装していまして、受注管理システムに近しいものも合わせて開発・実装しています。要件定義するにあたり他社様の事例や他業種の例を参考にして解説いただき、知見を与えてもらって一緒に考えてくださった、というところがうまく進めていただいたという印象になっています。こちらとしても勉強になるような進め方をしていただいたなと思っています。
ただ当初の計画よりもリリースが後ろ倒しになってしまい、順風満帆とはいえない状況に陥りました。大きな要因としては、EC-ORANGEのパッケージにOMS(受注管理システム)をプラスしての構築となったので、要件を洗い出しきれていなかった点があります。ECパッケージに加えて、受注、在庫管理、発注仕入というところを含めたシステムとなってしまったので、それに対して要件定義の期間が短すぎたというのがありました。要件定義の前段階で、社内での要求定義やRFPの準備といったところを省いてしまったため、要件定義の段階で正しい要望を伝えられなかったという反省点もあります。
その状態で設計に進み、要件定義の残りと設計が並行したり、設計の残りと開発が並行したり、ということが発生して遅れにつながっていきました。お客様やスタッフのニーズの吸い上げが不十分だった、という点も反省点です。
当初予定に間に合わないというタイミングで、両社で協議をおこない、プロジェクト体制の拡充、管理方法の見直し、ボトルネックの洗い出しと改善というところを真摯に対応いただきました。開発チームのメンバーにはご尽力いただいて、予定には遅れましたが無事リリースにこぎつけられました。
※2 : QCD、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字で、そのままシステム開発やビジネスにおいて重要な指針・要素を示している。それぞれが高いレベルでバランスされる事が重要であり、「品質とコストは良いが、納期が10年後である(10年後では、すでにその製品やビジネス次第が存在して否可能性がある)」、というように、バランスがとれていないとそもそもビジネスとして成立しないケースまで出てくる。
サービスを開始しての感想をお聞かせください。実際に使われていかがでしょうか。
フロントからバックオフィスまで一元管理することができるようになりました。スタッフからは一気通貫で処理もでき効率化につながったことで、業務負荷が下がったというコメントをもらっています。
柔軟にカスタマイズを実現できるようになったことで、引き続きエスキュービズムさんにも開発をお願いしつつ、社内で対応が可能となった部分もあり、改善をどんどん行えているという効果も非常に大きい点です。
実は開発の終盤から弊社のSEも開発チームに加わり、共同で開発を行いました。ベンダーロックインされていないことを生かして、サービスインのタイミングでも、そしてサービスイン後もそのまま保守や改善を二社で進めることができています。これは非常に希有なビジネス体験ですね。
社内にSEがいて開発も行える、今の時代にマッチした組織づくりを実現されているわけですね。
弊社の特徴の一つで、冒頭に申し上げたユニフォームの加工を行う部門の他、デザイナー、SEO、システムエンジニアといった専門的な分野のスタッフが多数社内にいます。社内に専門スタッフがいることで、スピード感を持って対応ができるのが強みです。社員数としては100名規模ですが、SEだけで10名程度在籍しています。ECサイトの運用をはじめ、様々なシステムの改善や新しく導入しようとしているものの開発を進めています。
お客様のニーズは日々変化しており、改善に対応するスピードが求められるなか、エスキュービズムさんと弊社ががっちりとタッグを組んでカスタマイズを行っています。
今後、エスキュービズムに期待していることはありますでしょうか。
お客様が求めるものをどんどん汲み取って改善していかないといけないなかで、現状でもまだ完成形ではないと思っています。このため、ユーザビリティ、UX、CXの面で改善を行い、如何に素早く・正確にPDCAを回していけるかが今後は重要になってきます。エスキュービズムさんがデジタルテクノロジー領域でお持ちの知識や知見を弊社にアドバイスいただき、サポートいただければと思っています。良きパートナーとしてご協力いただきたいなというところですね。
今後の事業展開、業界でのポジショニング、目指したい方向性を教えてください。
ユニフォーム販売の分野では競合他社が多数あります。弊社の経営理念「ワークライフをハッピーに!」を実現するためには、ただユニフォームを販売するだけでなく、まだまだ改善やチャレンジを続けていかなければならないと考えています。今後、より多くのお客様のワークライフをハッピーにするためには、お客様に選んでいただけるサービスを作り上げていかなければならない。その一部分としてEC-ORANGEを活用し、改善して成長させていく、自分たちも成長していく、というところを繰り返さないといけないと思っています。
※2021年5月の情報です。
※取材は感染症予防のためオンラインで行われました。