駅近百貨店の利便性をオンラインでも追及。
ECサイトリニューアルで店舗連動施策も実現

株式会社小田急百貨店 様

プロジェクト概要

UI/UXの改善でユーザー離脱の課題を解決。
「実現したかったが、できなかったこと」を実現できるECを構築

百貨店の強みを活かした地域に密着したオンラインショップ

小田急百貨店が運営するECサイト「小田急百貨店オンラインショッピング」は、ギフト、コスメ、ライフスタイルなどお客様のニーズにお応えする複数のカテゴリを設け、百貨店ならではの厳選された商品をラインナップしています。
お中元やお歳暮をはじめ、母の日、出産祝いなどの大切な方への贈り物はもちろん、産地直送の季節のフルーツやデパ地下スイーツ、全国各地の名産品などご自宅でお楽しみいただける商品も多く取り揃えています。

ECサイトのリニューアルを契機にオムニチャネル化を推進、利便性向上に寄与

実店舗の売場とECサイトをシームレスに連携し、小田急百貨店の持つ利便性をオンラインでもオフラインでも提供。革小物のセミオーダー機能や、店頭で在庫がない場合にオンライン決済ができる「小田急リモートショッピング」という仕組み、駅近の立地を活かした店舗受け取りなど、オムニチャネル化によって顧客接点を増やし、より密接な関係性を構築するための施策を次々に開発しています。
特に小田急リモートショッピングは、店舗に在庫がない場合や取り扱いがない場合(※)でも売場スタッフが専用の管理画面から商品登録を行い、お客様へSMSで専用のカート画面を送付することで決済を完了することができる新しい取り組みです。お客様からの要望に沿った商品を複数提案し、お客様はその中から欲しい物だけを購入することも可能です。
※店舗取扱がなくても仕入先から取り寄せることで対応

リニューアルと同時にEC-ORANGEの持つ機能を最大限に活用した運用支援も実施。販売施策の実現・運用サポートを実施することで魅力的な売り場(特集ページや告知バナーなど)を作り、売上アップに貢献しています。

  • 課題・背景

    • お客様がサイトで「迷ってしまう」「目的とする商品に辿りつけていない」ことで、お客様の訪問が無駄になっている可能性があった。
    • 見やすく、わかりやすく、買いやすい、百貨店ならではの購買体験をお客様に提供したい
    • 店舗売場との連携によるオムニチャネル施策を実施したい
    • 集客策のサービス強化をしたい
    • 基盤整備による、グループシステムとのつなぎ込みを実現したい
    • ECの運用サポートまで実施して欲しい。
  • 解決策

    • 顧客が扱いやすく検索性・回遊率を向上させるUI/UXの実現
    • 小田急百貨店ブランドに沿ったサイトデザイン
    • オムニシステムとして導入を推進し、各システムとの連携をサポート。
    • 拡張性のあるシステム提供
    • グループポイントID認証、配送伝票作成、POS、決済、配送連携などデータの一元化
    • 販売力を強化するEC運用支援
  • 効果

    • システム連携でオムニシステムを実現
    • セミオーダー機能やリモートショッピングなど百貨店ならではの購買体験価値を提供
    • 運用支援までを合わせて提供することで、販促力、集客力の強化
    • 前年月比120%の売上達成

インタビュー

小田急電鉄株式会社を中心とする約100社からなる小田急グループにおいて百貨店事業とEC事業を展開する小田急百貨店様では、2020年3月にECサイトをリニューアル。「小田急百貨店オンラインショッピング」は、ギフト、フード&スイーツ、コスメ、ライフスタイルなどお客様のニーズにお応えする複数のカテゴリを設け、百貨店ならではの厳選された商品をラインナップしています。

エスキュービズムでは、小田急百貨店様のECサイトリニューアルから運用まで行うことでオムニチャネル化プロジェクトの推進を継続支援させて頂いております。
今回は同社のEC事業プロジェクトを担当されている成田様、和泉様に、プロジェクトが実施された経緯や百貨店が考えるECの形などについてお話を伺いました。

経営企画部 IT担当 統括マネジャー

成田 稔様

事業創造部 eビジネス担当 マネジャー

和泉 哲郎様

システムリプレイスのタイミングでECの取り組み強化やオムニチャネルに対応

株式会社小田急百貨店様の事業内容はどのようなものでしょうか。

和泉様:小田急電鉄のグループ会社として、小田急沿線の新宿、町田、藤沢といった小田急線沿線のお客様をメインターゲットとした百貨店業を展開している企業です。コーポレートスローガンの一つに「お客さまに一つでも多くの“上質と感動”をお届けする、“駅に一番近くて便利・快適な百貨店”を目指す」とあるように、EC事業でも利便性を追求して施策をいろいろと実施しています。

今回のプロジェクトがどのような背景で開始されたのか、経緯や課題について教えてください。

和泉様:従来のECシステムを導入してから7年経過していたため、システムの陳腐化やサポートの問題などによって、改修の必要が出てきていました。今回、システムリプレイスのタイミングでECの取り組み強化やオムニチャネルに対応した新機能を搭載するというのがプロジェクトを始動したという経緯になっています。

プロジェクト推進のうえでは、どのような課題がありましたか?

和泉様:EC事業としてはEC化率の向上が課題として上がっていました。各社がECを強化している流れの中で、当社としても中長期的にEC事業の成長に合わせて対応していける仕組みを構築したいと考えましたが、既存のシステムでは、新しく機能を開発することが難しかったというところで限界を感じていました。
構築から7年が経過していたシステムでは、サイトデザインの刷新やお客様が使いやすいUIに変更する、というニーズや、店舗と連動して何か新しい施策を行いたいという希望があっても追加開発のハードルが非常に高かったのです。外部ツールとの連携ももっとフレキシブルに実施していきたいと思っていましたが、それらを実現することもできず、柔軟性の高い仕組みに切り替えることが望ましい状況でした。

機能拡張の選択肢が多彩で、独自のやりたいことが実現できる可能性

エスキュービズムを知ったきっかけや、選んでいただいた決め手を教えてください。

成田様:ECサイトを更新するというタイミングで、これまでとはEC事業の考え方がだいぶ変わりました。従来は食料品やギフトをメインに販売していましたが、ECの事業規模を拡大させるため、これまで小田急のECサイトを利用してこなかったお客様にもリーチできるように商材範囲の拡大を行う事が決定しました。今後は扱うカテゴリや商材を増やしていくこと、店舗の売り場とも連携できるような施策を実施できることなど、運用側からもECサイトの根幹に関わる機能要件が多数出てきていたため、パッケージの選定から始めました。基本的な機能的についてはどこも遜色なかったのですが、オムニチャネルやOMOといった先進的な機能を搭載できるようなパッケージとしてEC-ORANGEが候補に挙がりました。

和泉様:他ベンダーさんと比べてオムニチャネル施策の事例や先進性の高い取り組みを実績として持っているところ、またそれを機能として実装できる拡張性の高さは決め手の一つになっているかなと思います。

成田様:パッケージとして根幹はしっかりしていて、それでいて完成形ではなく、機能拡張の選択肢が多彩で当社独自のやりたいことが実現できるという可能性も感じました。

エスキュービズムのプレゼンはいかがでしたか。

成田様:他社さんと比べ、先進的で具体的な事例のご紹介も多かったですし、当社の百貨店という業態に合わせてご提案をいただいたというところが印象として残っています。それから「なんでもできます」というところを強くアピールされていましたね。

和泉様:RFPの段階で当社としては今までにやったことがない機能をいくつか要望として盛り込んでいました。ECサイト上でセミオーダー注文ができる仕組み、店舗に在庫がなくてもオンライン決済を使って店頭での接客販売ができる仕組みなどです。それに対して具体的な事例を合わせてご提案いただき、実現の可能性を手ごたえとして感じることができました。

開発プロジェクトの進行はいかがでしたか。苦労された部分など、それをブレイクスルーした具体的なエピソードがあれば教えてください。

成田様:進行としては、エスキュービズムさん側の都合で一部スケジュールの変更などがあり、要件定義が未完了の中、アジャイル的な作り方となりました。開発スケジュールも遅延しましたが、現場のリニューアルオープン日は決まっているので、スタート時は機能もだいぶ抑えた形となりました。
現時点でも未実装の機能の開発や追加開発を行っていただいている、という状況です。良く言えば、レスポンス良く細かく改修しながら、トライ&エラーで運用しているということですね。今はそれほど時間をかけずに対応いただいており、毎週更新をかけているような状態です。

百貨店ならではの新たな購買体験価値を提供

サービスを開始しての感想をお聞かせください。御社の場合は店舗と本部側と2つの側面があると思うのですが、実際に使われていかがでしょうか。

和泉様:スケジュール面ではいろいろと課題があるものの、機能としては着実に実装されていっています。要望として出していたセミオーダー機能は革小物カテゴリの「ジェントルマンズクローゼット」として通常運用されています。また店頭で在庫がない場合にオンライン決済ができる「小田急リモートショッピング」という仕組みについては、売場にも周知浸透を図っているところです。ECで購入した商品を店舗で受け取れるサービスも既に運用が開始されています。機能面については一定のところで満足して使わせていただいています。

オペレーション面での課題は引き続きブラッシュアップしていかなくてはならない部分があると思いますが、今までできていなかったことができるようになり、百貨店ならではの新たな購買体験価値を提供できる環境が整ってきています。

様々な施策が実現しているということですね。お客様の利用率などはいかがでしょうか。

和泉様:まだまだ利用率が高いわけではないので、認知を広げていかなければならないという段階です。店舗受け取りに関しては、緊急事態宣言が出されている段階ではなかなか店舗に足を運んでいただく動機として大きく打ち出せない状況にあります。
小田急百貨店は駅に近接している店舗というのが最大の強みでもありますので、用事のついでに受け取れるというニーズに応えるということについては、利便性向上のためにも推進していかなくてはならない施策だと思っています。この取り組みについては今後も継続して強化していく必要があると考えています。

ご検討されていること、エスキュービズムに期待していることはありますでしょうか。

和泉様:店舗とEC両方を持っている当社だからこそできることに今後も力を入れていきたいと考えています。新機能については実際に使ってみてのオペレーション的な課題もたくさん出てくると思いますので、そういった課題に対して柔軟に素早くご対応いただけることを期待しています。

また、新しい外部ツールとの連携など、今後もいろいろな要求に対し、迅速に追加、または連携していけることを期待しています。エスキュービズムさんが持っているOMO連携、DXの経験や知見などもどんどんご紹介いただければと思います。

今後の事業展開、業界でのポジショニング、目指したい方向性を教えてください。

和泉様: EC事業だけでなく全社の取り組みにも繋がっていくと思うのですが、売場との連携強化、売場の商品をもっとオンラインでも購入できるようにならないといけないと思います。売場でもオンラインでもシームレスに、当社との接点がお客様にとってより便利で、自由で、使いやすい関係性を維持、構築していけるような仕組みを提供し、これらを推進していきながら、ECの事業を成長させていくことが目指すべき方向性だと考えています。

特に、小田急百貨店は駅に近接している店舗というのが最大の強みでもありますので、接客力・利便性に関してはオンライン上でも強くこだわって推進していくべきポイントだと思っていますので、他社に負けないように注力していきたいですね。

また、大手モールなど、ECを取り巻く市場環境も年々競合が厳しくなってきていますが、百貨店に対する信用・信頼度は他店と比べて優位性があると自負できる部分があります。こうした強みもECサイト上でもしっかり活かしていき、差別化していく必要があると考えています。

※2021年6月の情報です。
※取材は感染症予防のためオンラインで行われました。

株式会社小田急百貨店

小田急電鉄(株)を中心とする約100社から成る小田急グループの一員。運輸・流通・不動産・ホテル・レストランなど、さまざまな分野で地域社会に密着した事業を展開するグループ内において百貨店事業とEC事業を展開。

https://shop.odakyu-dept.co.jp