「BtoBtoE」という価値を提供
する
新サービス「mot.」の複雑
な仕組みを短期間で実装

三井不動産株式会社 様

プロジェクト概要

予約チャネル、施設、支払方法など、あらゆる組み合わせを
シームレスに実現する予約システムを短期間で実現

従業員の快適さを追求したBtoBtoEサービス「mot.」

「mot. 三井のオフィス for Tomorrow / Mitsui Office for Tomorrow」は、特定のオフィスビルに入居するテナント企業の従業員を対象にした「BtoBtoE(Employee)」サービス。ビルが大量供給されている中、他社との差別化として、テナント企業の本業支援だけでなく、従業員の生産性向上や、働き方改革に資する価値を提供することをミッションとして課されたプロジェクトです。具体的には、会員登録した対象企業の従業員に対して会員制のラウンジやフィットネス、貸し会議室、コンシェルジュサービスなどを提供しています。

幾通りものサービス形態にシームレスに対応する予約システム

「mot.」は、オフィスビルに入るテナント企業ごとに契約形態・料金が異なります。それらを的確に提供、管理するために開発された本システムでは、BtoB、BtoC、予約チャネル(対面、非対面)、利用施設、支払方法など、幾通りものサービス形態にシームレスに対応できるだけでなく、所属会社により異なる料金テーブル、福利厚生による割引、利用中サービスによる割引、または商品に対する割引のすべてを一挙に管理できます。エスキュービズムはサービスの骨子を作り上げるところからコンサルティングに入り、要件フィット率70%のパッケージをベースにカスタマイズ開発を行うことで短期間での実装を実現しました。

システムイメージ
  • 課題・背景

    • toBのみならずtoCにも対応可能なシステムが必要だった
    • ビルのオープンに合わせ、約半年でのサービスリリースを目指す
  • 解決策

    • サービスの骨子から一緒に作り上げるコンサルティングを実施
    • 要件フィット率70%のパッケージをベースに、短期間で開発
    • toB、toC、対面、非対面など様々な状況にシームレスに対応できる予約システムを開発
  • 効果

    • ユーザごとに異なる複数の料金テーブル、割引率などを容易に管理可能に
    • 誰もがスムーズに利用できるUI/UXで円滑なオペレーションに

インタビュー

2018年12月に「日本橋髙島屋三井ビルディング」でサービスを開始した「mot. 三井のオフィス for Tomorrow / Mitsui Office for Tomorrow(以下「mot.」)」のシステムにREBLITZをご採用頂いた三井不動産株式会社の石川様、山本様のお二人に、サービスの誕生からシステム開発およびプロジェクト進行、今後の展開まで、その背景を語っていただきました。

ビルディング事業一部
事業グループ 主事

石川 理絵 様

ビルディング事業一部
事業グループ 主任

山本 真梨奈 様

「選ばれるオフィスビル」になるために、 働く人々がいかに快適に過ごせるかを考えた

まず始めに、「mot.」がどんなサービスなのかを教えてください。

山本様:「mot.」とは、「Mitsui Office for Tomorrow」の頭文字を取ったもので、『三井のオフィス』があなたの"もっと"をかなえる場所になる、というコンセプトで提供させていただくサービスです。

石川様:当ビル(日本橋髙島屋三井ビルディング)の9階と10階の一部に、カンファレンスエリア、会員制ウェルネスエリア、無料ラウンジ、会員制有料ラウンジ等があり、それらをこのビルで働いている皆様などに会員登録をして使っていただくというサービスになっています。

「mot.」が生まれた背景にはどんなストーリーがあったのですか?

山本様:私たちはオフィスビル事業を行なっているビルディング本部に所属しているのですが、ただビルを作ればテナント企業が選んでくれるという時代はもう終わりを迎えると思っています。いかにテナント企業の皆様に選んでいただけるオフィスにするか、そこで働く皆様がいかに快適に過ごせるオフィスにするか、というのが本部内で長年の課題としてありました。それを解決する施設を実現するために、2017年の4月に今の「mot.」のプロジェクトチームが発足しました。

石川様:そもそもはBtoB向けにサービス提供をしたいというところから企画がスタートしたのですが、今回、ここで働く皆様が快適に過ごすために我々が出来ることを突き詰めるうちに「BtoB ではなくて、BtoBtoE(Employee=従業員)が重要だ」ということに行き着き、私たちの部門ではほぼ初めてとなるBtoCのビジネスを手がけることになりました。

ビルディング事業部として初めてのBtoCビジネスに、 極めて困難なスケジュールで挑戦

石川様:当社では他部門の事業として「WORK STYLING」というBtoB向けのサービスオフィス事業を運営しています。そのサービス用のシステムとして、ご利用企業様に所属している従業員の皆様向けの会員管理、QRコードでの入退場処理、履歴データ管理を行い、ご利用企業様向けに請求させていただく、という仕組みが既に存在していました。当初は、「mot.」もそれに近いサービスだと思っていたため、そのシステムを元に少しのカスタマイズをすれば実現できると考えていました。

山本様:ところが、いざ動き始めてみると、私たちがやりたいBtoBtoE、つまり個人向けのクレジットカードや電子マネーを使った決済への対応ノウハウが部門内にはありませんでした。そこで改めてBtoCのビジネスに強いシステムを構築してくれるパートナーが必要だということが分かりました。

石川様:納期までのスケジュールも不安要素としては大きかったです。当時、私たちの方で施設などのハード面はある程度固まっていたのですが、入退場の仕組みや料金形態など細かい運用方法が全く決まっていませんでした。そんな状態にも関わらず、当初は発注から半年でサービスをオープンさせる計画でいましたから。

要件フィット率70%のパッケージをベースに、 複雑なサービスに対応するシステムを新規開発

エスキュービズムを選んでいただいた経緯と決め手を教えてください。

山本様:三井不動産では「&mall(アンドモール)」というBtoC向けのECサイトを運営しているのですが、その立ち上げを行ったITイノベーション部に相談を持ちかけました。「&mall」をスタートさせる時にお話を伺ったいくつかの企業の中で、今回のプロジェクトにはエスキュービズムさんが合うのではないかと紹介を受けたのがきっかけです。他にも大手ベンダーさんをはじめとするいくつかの企業に同じ要件でお声がけした上で選定させていただきました。

石川様:大手ベンダーさんには「細かい仕組みや運用面を固めるだけで数ヶ月かかります」と言われたりしたのですが、その中で、私たちが望む「半年でオープン」というスケジュールに乗っていただけたのがエスキュービズムさんでした。

山本様:本来であれば、サービスの仕組みや運用方法を全て固めた上で「この部分をシステムで運用したいです」という発注の仕方であるべきなのですが、私たちはシステムの初心者だったので、そういった一般的なシステム開発の流れも理解しないまま、とにかく「こうありたい」という姿だけを提示するというディレクションでした。エスキュービズムさんは「それでは仕組みや運用方法も一緒に決めながら作っていきましょう」という形で相談に乗ってくれたのですごくありがたかったですね。

石川様:エスキュービズムさんのパッケージは、標準機能のままでも弊社の要件に対するフィット率が70%ぐらいあったという部分も社内で非常に評価が高かったです。個人向け決済など私たちの苦手分野を、すでに実績のあるパッケージでかなりカバーしていましたし、それをカスタマイズすることで最適なシステムが構築できるイメージが湧きました。

プロジェクトの進行はいかがでしたか?

山本様:毎週1回から2回、関係者で集まってミーティングを行いました。その中で、BtoCの初心者である私たちに「そもそもクレジットカードの仕組みとは」みたいな基礎的な部分から辛抱強く教えていただいたり、かなり複雑な要求に対して一緒にサービスの仕組みを作るところから入っていただいたりしました。

石川様:私たちのサービスは、このビル(日本橋髙島屋三井ビルディング)と、もう1棟のビル(日本橋一丁目三井ビルディング)の2棟のビルに入っている『三井のオフィス』テナント企業の皆様が対象なのですが、入居ビルによって割引率を変えたり、月額会員になることによってさらに割引されるなど、実現したいディスカウントが色々とありました。

山本様:こちらとしては何のロジックもなく、「やりたいことベース」で価格を決めていて、その数字をそのまま渡せばシステムに反映されるものと思っていたのですが、割引ロジックを決めて定価から数式で算出しないと実現は難しいということを開発の過程で教えていただき、最初はそれを理解するのに苦労しましたね。

石川様:クーポンの発行などは標準パッケージの機能でカバーできるのですが、予約や法人請求、ディスカウントの出し分け、テナント企業ごとに見せる管理画面の範囲を変える、と言ったロール分けの設定についてはゼロベースで新規開発する必要がありました。「それでは、どう出し分けたいですか」と聞かれた時にこちらで完璧にリストができているわけではなかったので、システムの開発と同時にサービスの骨子を一緒に決めていくという場面もありました。

山本様:朝から晩まで缶詰になることも多々あり、その中で会社という枠を超えてチームとして成熟していきました。チームメンバーにおめでたいことがあった時など、プロジェクターで資料を映すフリをして「おめでとうメッセージ」のサプライズ演出を用意したり、苦しい中でもアットホームな瞬間がありました。それは、お互い真剣に向き合っているからこそ生まれた一体感だと思います。

システムに対するユーザーの反応は「特になし」。 だが、それがいい

サービスをオープンして、お客様の反応はいかがでしたか?

山本様:現時点でオープンから3ヶ月ですが、皆さん快適に使っていただいていると思います。フロントシステムについては特に「すごくいい!」みたいな反応はないのですが、だからこそいいと思っています。それだけユーザーの方に自然に馴染んでいる証拠ですから。導線もわかりやすく、「次どこに行けばいいの?」となる場面がありません。

石川様:社内でシステムについて詳しい方に見せても「非常にわかりやすい」と言っていただけます。全体的にシンプルにわかりやすく作っていただき、ユーザーインターフェースやUXの部分ではかなり良かったと思います。

さらに複雑化するユーザーの要望に、 サービスとシステムをアップデートして応え続ける

最後に、「mot.」の今後の展望やエスキュービズムに期待されていることを教えてください。

山本様:2019年3月末に竣工する日本橋室町三井タワーの中で、「mot.」の第2弾が展開されます。また、この先建設される物件にも同様のコンセプトを持った施設を入れていきたいと考えています。

石川様:今はちょうどお客様にも一通り「mot.」を使っていただいたタイミングで、「もっとこんな使い方をしたい」というリアクションが続々と出てきています。それをどう拾って次のサービスに反映していくか、まさに今検討している最中です。

山本様:弊社のDNAとして、お客様の要望に細かく応えるというマインドがあるので、「システムはこうだから、これで使ってください」と言い切って渡す部分と、要望に全力で応える部分でどう折り合いをつけるか、というのが新たな課題ですね。今までビルの管理というと、人間が頑張れば応えられる部分も多かったのですが、「mot.」などのサービスではシステムをアップデートしないことには決して実現できませんので。

石川様:現時点で詳細はお話しできませんが、日本橋室町三井タワーでは、さらに「mot.」のシステムをアップデートして新しい機能を取り入れたいと思っています。私たちの作った施設がより良いものとなるように、システムを活用したソフト面の運用部分について、エスキュービズムさんとまた一緒に作っていけたらと大いに期待しています。

mot. 三井のオフィス for Tomorrow / Mitsui Office for Tomorrow

「あなたの"もっと"をかなえる場所」をコンセプトとして三井不動産が提供する、 快適なビジネスライフを過ごしていただくためのテナント企業向け会員制施設・サービス。