店舗の業務効率向上を実現する発注システムを開発
ミニット・アジア・パシフィック株式会社 様
ミニット・アジア・パシフィック株式会社 様
「ミスターミニット」では靴修理と合カギ作製に加え、時計やスマホ修理・はんこの作製など、お客様の「ちょっと困った」「これはどこで作れるの?」といったご相談にお答えする「サービスのコンビニエンスストア」として全国301店舗(2021年3月31現在)でサービス展開しています。立ち寄りやすい駅の近くや繁華街など、通勤やお買い物の間に立ち寄りやすい立地で、お客様のご要望にすばやくお応えする専門トレーニングを受けたスタッフがサービスを提供。このサービス提供に必要な部材・備品発注などの店舗運用業務をエスキュービズムのEC-ORANGEをベースに開発・ご提供させて頂きました。
全国301店舗(2021年3月31現在)からの部材・備品発注の一元管理をEC-ORANGEで実現。狭小スペースで多彩なサービスを提供することがビジネスモデルの中心である同社の課題は、作業スペースの確保、郵送による発注で生じていたタイムラグの解消、本部の作業効率化、ペーパーレス化など多岐に渡っていました。この課題を解決するため、デジタル化推進プロジェクトが始動。EC-ORANGEのカスタマイズ性を活かし、店舗業務に最適化されたUIを作成、店舗での操作性重視の機能を実装しました。店舗での発注業務をタブレットに集約し、省スペースでの店舗運用を実現。店舗・本部業務のペーパーレス化を実現し、効率良く大量のデータ処理ができる仕組みを作ることで、多様なサービスを展開する店舗に適したシステムを構築しました。
「ミスターミニット」のブランドで合鍵作成や靴のリペア(修理)サービス事業を中心に事業展開しているミニット・アジア・パシフィック株式会社では、2020年3月に店舗スタッフが利用する部材・備品発注システムをEC-ORANGEで開発しローンチしました。今回は同社で情報システムを担当されている鈴木様、市川様のお二人に、開発プロジェクトがスタートした背景や課題、開発時に苦労した点などについてお話を伺いました。
ミニット・アジア・パシフィック株式会社様の事業内容はどのようなものでしょうか
市川様:「ミスターミニット」では靴修理と合カギ作製に加え、時計やスマホ修理・はんこの作製など、お客様の「ちょっと困った」「これはどこで作れるの?」といったご相談にお答えする「サービスのコンビニエンスストア」として全国301店舗(2021年3月31現在)でサービス展開しています。駅の近くや繁華街など、通勤やお買い物の間に立ち寄りやすい立地に出店し、お客様のご要望にすばやくお応えする専門トレーニングを受けたスタッフがサービスを提供しているのが特長です。
今回のプロジェクトがどのような背景で開始されたのか、経緯や課題について教えてください。
市川様:まず大きな課題として、靴の修理で必要となる資材、合鍵作成で必要な部材など修理用資材や備品の発注業務の省力化、効率化が急務でした。全国の店舗から発注を受けて倉庫から発送していたのですが、発注方法が郵送及びFAXというアナログ仕様だったため、一度受け付けた内容を本部側でシステムに入力してデータ化し、倉庫に送るという作業が発生していました。これらのアナログな部分により、納品までのリードタイムが長かった点や、データ化する際の入力ミスなども課題となっていました。
鈴木様:元々は2017年頃に販売や給与などの基幹システムを入れ替えるというプロジェクトが先に実施され、その次に店舗の発注フローを見直し、課題解決のために発注システムをデジタル化するプロジェクトが立ち上がりました。本部業務の改善とともに、店舗業務の改善を行う狙いがありました。
プロジェクト推進のうえでは、どのような課題がありましたか?
市川様:ミスターミニットをご利用されたことのある方はご存知だと思いますが、店舗スペースが狭小です。このため、PCを置くことができなかったので、タブレットで使えるシステムを作る必要がありました。最初は従来使っている基幹システムのベンダーに部材発注のモジュール開発も含めて依頼しようと考えていたのですが、店舗でシステムを利用するにはフロントエンドとなるブラウザベースでのシステム開発が必要と判断し、コスト面や操作性も考えてECシステムベンダーを検討することになりました。
エスキュービズムを知ったきっかけや、選んでいただいた決め手を教えてください。
市川様:基幹システムベンダーの担当者からエスキュービズムさんを紹介いただき、ご相談したのが最初ですね。ECパッケージに我々の業務を合わせるか、ある程度カスタマイズを前提にするかで検討していましたが、我々の業務がかなり特殊で、通常のBtoBシステムとは異なるため、きめ細かくカスタマイズをしていただけるエスキュービズムさんを選択しました。
鈴木様:また、今時点では出荷拠点は一つですが、将来的に「複数倉庫で運用する」という構想があり、最初から拡張性を担保した状態での開発が可能ということも決め手の一つでした。
エスキュービズムのプレゼンはいかがでしたか。
鈴木様:多くの企業からお話を聞きましたが、エスキュービズムが一番求めているものが作れるだろうという感覚を受けました。
市川様:プレゼンよりも、その後の実現するプロセスでの対応が印象に残っています。
開発プロジェクトの進行はいかがでしたか。苦労された部分など、それをブレイクスルーした具体的なエピソードがあれば教えてください。
鈴木様:狭小店舗でPCが置けないため、プロジェクトの初期段階でタブレットアプリを利用する想定となり、我々としては初めての試みとなりました。iOSやタブレット、ブラウザなどの環境での開発経験がなく、苦労したところではあります。
実はPC版のプロトタイプが既にあって、店舗で使えるシステムかどうかのリファレンスが可能でした。端末にパソコンを使えるならキーボードやマウスでの操作になりますが、タブレットでは操作性が変化してしまいます。
市川様:タブレットで操作するためにPC版とはUIや動線が異なり、非常に細かい部分までカスタマイズをお願いしました。それに対して嫌がらずに対応していただいたので、操作性の面ではクリアできました。
鈴木様:開発中の苦労としてはバグをつぶしてテストして、という作業がありますが、なかなか終わりが見えにくくなったことがあって、その時が一番辛かったですね。
サービスを開始しての感想をお聞かせください。御社の場合は店舗と本部側と2つの側面があると思うのですが、実際に使われていかがでしょうか。
市川様:店舗側が入力したデータをそのまま使えるため、本部側の人間は紙からの入力作業がまるごとなくなったので非常に助かっています。
鈴木様:店舗スタッフに導入後半年の段階でアンケートを取ったところ、概ね「とても良い」という評判をいただいています。業務システムとしては初の試みであっても、利用するユーザの視点でいえばスマホやタブレットを使い慣れているので、結果的には問題なく使えているようです。
ただ、今回一次開発ということで、検索機能など予算オーバーを理由として一部要件からカットしました。検索ワードが完全値でないと検索結果が表示されないので、登録商品名やカテゴリなどのマスター登録の段階でルールづけをして、店舗側には同じルールを共有しています。検索機能などは今後も改修をして、より使いやすいものにしていかなくてはなりませんが、操作性の面など現時点では満足していただいています。
ご検討されていること、エスキュービズムに期待していることはありますでしょうか。
市川様:各店舗によって登録しておきたい部材や備品のパターンが異なるため、注文パターンを店舗ごとに保持できるような機能を次回の追加開発で実装出来たらと思っています。時計修理をやっている店舗と靴修理をやっている店舗では必要な資材がまったく違いますし、店舗スペースの違いや立地によって売れ筋が違うので発注資材は変わってきます。
鈴木様:まずは店舗ファーストでの開発だったので、本部・倉庫側の管理画面はほとんど手つかずの状態で使いにくい部分があります。これも追加開発で改修したいと考えています。
市川様:EC-ORANGEというプラットフォームはありながらも「なんでもできます」と言っていただけて、本当になんでもカスタマイズしていただけました。今後、期待していることとしては、これからも今までと同じように柔軟な対応をしていただけたら我々としても大変助かります。今後5年、10年、少しずつ手を入れながら、使わせていただければと思っています。
今後の事業展開、業界でのポジショニング、目指したい方向性を教えてください。
市川様:世の中の企業のほとんどがそうであると思いますが、当社もご多分に漏れずコロナの影響によって変化していかなくてはならない状況です。店舗の立地条件やサービスの内容、限られた店舗スペースでいかに工夫してサービス提供をするか、ということをいつも考えています。
ミスターミニットのサービススタッフは非常に高い対応力を持っているのが特長です。割と新しいサービスでも貪欲に対応し、サービスを多角化させていっています。最近ではフリマアプリと提携し、リペアとともに出品サポートも行っています。
鈴木様:社会情勢に柔軟に対応していきながら、「サービスコンビニ」のコンセプトを軸に事業展開していく方向性でおります。アフターコロナの世界になったとして、100%コロナ前の世界に戻る保証はありませんので、臨機応変に対応していくでしょう。業界ナンバーワンのポジションをキープしつつ、さらにサービス内容を拡張していければと考えております。
※2021年5月の情報です。
※取材は感染症予防のためオンラインで行われました。