「予約」に関するニーズとeCoPAシステムがマッチング。
駐車場IoTを活用して利用者の不安を解消
三井不動産リアルティ株式会社 様
三井不動産リアルティ株式会社 様
「toppi!(トッピ)」は、空いているスペースを有効活用したい土地オーナーと、外出先などで確実に車を停めたいドライバーをマッチングする事前予約駐車場サービス。
三井のリパークを運営する三井不動産リアルティは、今後シェアリング・エコノミー領域に進出していくことを見据えて、本業である駐車場事業を活かしたスペースシェア事業「toppi!(トッピ)」を展開しています。
従来、駐車場の予約システム構築には高額の開発コストと導入コストがハードルでした。「toppi!(トッピ)」では、エスキュービズムの駐車場IoT「eCoPA」を採用することで、ローコストで予約システムを実現しました。
会員サイト上から駐車場の空き状況、料金などが確認でき、クレジットカードによる事前決済で現地での支払いは不要。さらに、個人ユーザーと法人ユーザーを個別に管理できる仕組みになっています。利用者登録を伴う予約システムとなっているため、会員データや利用状況が可視化され、そこで取得したデータを今後のサービス向上に活用することが可能になりました。
「三井のリパーク」のブランドでいわゆるコインパーキングを中心に、オフィスビルや大型店舗などの施設型駐車場、月極駐車場、自転車駐輪場の運営管理を行う同社がスペースシェア事業に「eCoPA」システムを採用した経緯をお聞きしました。
eCoPA(エコパ)をご導入いただいた三井のリパーク様及びスペースシェア事業「toppi!(トッピ!)」の事業内容についてお聞かせください。
吉田様:『三井のリパーク』はオーナー様から土地をお借りして、駐車場に整備したうえで、毎月一定の賃料をお支払いするという事業モデルです。また、店舗や施設型の場合は、駐車場運営コストの削減や不正駐車の抑止など、施設ごとの課題やニーズにトータルで対応する運営管理業務の代行サービスも行っています。豊富な駐車場運営のノウハウを活かし、駐車場づくりから運営、さらにその後のことまでトータルでサービスをご提供しています。
現在、100%出資子会社のカーシェアリング・ジャパン株式会社でカーシェアリング事業を行っておりますが、当社も今後シェアリング・エコノミーの領域に進出していきたいと考えました。本業の駐車場事業に近いということで、スペースシェア事業に参入したという経緯です。したがって、新規事業というよりは、これまでの駐車場事業の延長線にある別の事業形態として捉えています。
今回のスペースシェア事業『toppi!』において、『シェアリング・エコノミー』と並んで重要なキーワードは『予約』です。駐車場を探される方にとって、『予約ができる』ということは、便利で新しいスタイルです。利用者側が持っていた駐車場に対する不満を解消できる一つの手段として、『予約ができるスペースシェア』を提案できればと考えています。
葛西様:目的地と駐車場を『つなぐ』サービスが、今回のスペースシェア事業であると位置づけています。当社の駐車場は現在全国で約11,000事業地あるのですが、ほとんどの駐車場が無人であることから、利用者像があまり見えていないのが実情です。駐車場探しに苦労しているとか、料金の精算に手間取ったとか、誰がどんな不満を抱えているのか見えにくいのです。WEBサイトで予約が取れるようになれば、たとえば旅行会社と連携し、宿泊施設を予約する際に一緒に近隣の駐車場を予約できるなど、『車での行動』がもっと便利になるはずです。
車で出かける際の『駐車場が見つかるだろうか』『駐車料金はいくらかかるだろうか』といった不安を解消できるのではないかと考えています。
吉田様:今回のスペースシェア事業では、個人の方に会員になっていただき、予約システムをご利用いただきます。そうすると、どんな方が使っているのか、どんな課題をお持ちなのか見えやすくなるという利点もあります。地域サービスとの連携で様々な活用も考えられますね。
エスキュービズムを知ったきっかけは?
葛西様:エスキュービズムさんが予約のできるeCoPAという駐車場IoTを考えていらっしゃるとのことで、駐車場事業を行っている当社にヒアリングに来られたのが最初でしたね。そのときにお話を伺って、当社でも予約に関してニーズがあったので、今回の採用につながった感じです。
吉田様:社内でも『予約』というキーワードはずっと課題としてあったのですが、どのように実現していくのかというのは、機械式の駐車場では開発コストも導入コストもかかるためにハードルが高かったのです。しかし、技術の進歩や世間でもシェアリング・エコノミーが普及してきたということ、そして利用者が様々なサービスを求めているということが新規事業へ踏み込む要因としてありました。我々が『駐車場とはこういうものだ』と決めてしまうと、利用者とのギャップはどんどん開いてしまいます。利用者に歩み寄って、利便性を高めて利用しやすいサービスにしていければと思います。
エスキュービズムを選んだ決め手はなんでしょうか。
吉田様:開発に対してのスピード感がありそうだというところが一番の決め手でした。そして、今後未来の駐車場を作っていくにあたって、いろいろな技術を使ってトライアルしてくれるのではないかという期待もありました。我々にない感性で次への発想が生まれそうだな、と感じましたね。すでにeCoPAというサービスを持たれていたというところも大きかったです。
葛西様:引き出しの多さと、展示会で既に出来上がったものを見ることができたので、短期間で当社のニーズにあったものが開発できそうだと感じました。我々はECサイト構築に関するノウハウが不足していましたので、経験に基づいた知見をお借りできるということも大きかったです。
開発中のエピソードなどありましたら教えてください。
葛西様:我々の駐車場事業に関するノウハウと、エスキュービズムさんのECサイト構築に関するノウハウをうまく合致させることが重要だと考え、認識をすり合わせることに注力しました。お互いにないものを補って、サービスの開発ができていると思っています。
また、今回の取り組みを通して、当社の発想にはない、会員サイトでのSNSのアカウントを使ったログインなど、エスキュービズムさんの後押しを受けて、いくつか新たなことへの挑戦も経験できました。
吉田様:スペースシェア事業は、まずはCtoBtoCという形を取っています。これは駐車場事業を行う上で、一定のクオリティを保つことは利用者にとっての利便性向上につながりますので、そこは担保していきたいという意図です。あえて積極的に介在し、商品(駐車場)を安全にご利用いただくために品質管理に取り組んでまいります。そういったところは差別化になるかと考えています。
今後の展望についてお聞かせください。
吉田様:子会社でカーシェアリング事業を行っておりますが、今後サービス統合していきたいと考えています。会員データも連携して、サービスの相互乗り入れができれば、より充実したサービスの提供ができるようになりますね。シェアリング・エコノミーに関する規制緩和について各方面で活発に議論されています。今回のシステム構築を契機として、カーシェアリング、駐車場はもちろんのこと、それだけには留まらず、色々な商品を提供していきたい、事業の幅を広げていきたいと思います。
会員の方のライフイベントに合った様々なサービスを提供できればと。余談ですが、当社では『三井のリハウス』のブランド名で不動産仲介事業を行っています。家をご購入いただいた後、お客様と接点を持ち続けるというのはなかなか難しかったのですが、スペースシェア事業を持つことで、『日中、購入いただいたご自宅の車庫が空いていたら、シェアしてみませんか』というような新たな提案、新たな接点が生まれるという可能性もあります。
会員専用の駐車場では車のナンバーをご登録いただいて、入庫した瞬間にセンサーが感知して課金がスタート、出庫したらクレジット決済されるというような駐車場が未来の駐車場になるんでしょうね。自動運転をはじめETC2.0など自動車運転技術の進歩も目覚ましいものがあります。それらを活用して、キャッシュレスでバリアフリーな駐車場を作っていければと思います。
※記載内容および担当者の所属、役職名についてはインタビュー当時(2016年10月)の内容です。