在庫適正化とデータ利活用を実現するため、
基幹システムとPOSシステムを刷新
株式会社イシグロ 様
株式会社イシグロ 様
株式会社イシグロ様は、東海地方を中心に釣具とアウトドア用品の店舗販売、オンライン販売を展開しています。
今回は、多店舗間での在庫管理を行う基幹システムと、店舗のPOSシステムを一新してデータの可視化を実現するプロジェクトにORANGE
POSを選定いただきました。
柔軟なカスタマイズが可能なORANGE
POSを導入したことにより、イシグロ様の業態に合わせた受発注システムを構築することができました。
株式会社イシグロは、属人的な商品受発注システムを刷新し、店舗の業務負担軽減を計画していました。
在庫情報や販売情報のデータ化は、地域やシーズンごとに売れ筋商品が大きく異なる釣具の販売予測の精度向上に役立ちます。
このプロジェクトを実現するためには、全商品をデータ登録し単品管理を行えるようにした上で受発注および販売の流れを可視化する必要がありました。
インタビューでは、基幹システムとPOSシステムを刷新する経緯と背景、これからの展望を語っていただきました。
情報企画室 室長
伏見 周平 様
御社の事業内容について教えてください。
伏見氏:
株式会社イシグロは、1952年に石黒釣具店として創業し、2022年に創業70周年を迎えました。
主な事業内容は釣具の販売で、各地域の釣情報の提供、釣場の発掘、釣具の買取販売、釣り具のレンタル事業、釣り具の修理やビルディングも行っています。
現在は、静岡、愛知、岐阜、三重、滋賀に計26店舗の店舗展開をしています。
今回のプロジェクトが開始された背景・経緯を教えてください。
伏見氏:
今回のプロジェクトでは、基幹システムとPOSシステムの刷新を図りました。
イシグロでは、商品の販売のほかに中古釣具の買取を行っていますが、買取から販売までのフローにデータ化されていない部分があり、販売の機会損失が生じていました。
買い取った釣具を買取した店舗で販売すべきか、あるいは他の店舗で販売すべきか、といった決定が、現場スタッフの判断によって行われていたためです。
こうした事態からの脱却を図り、店舗スタッフの負担軽減を達成するため、POSシステムの刷新を決定しました。
さらに、基幹システムを一新することで、在庫、販売、業務の3つの効率化を達成できると考え、本プロジェクトに取り組みました。
現代はニーズの移り変わりのスピードが加速しています。
小売店である以上、顧客のニーズに都度対応して業務のかたちを変えていくことは必要不可欠です。
ORANGE
POSは拡張性が高く、改修しながら運用できる点が魅力で、今回のプロジェクトにおける導入の決め手となりました。
プロジェクトを推進される上で、どのような課題がありましたか。
伏見氏:
一番の課題は、店舗業務のシステム化と基幹システムの入替を同時進行したことです。
以前の店舗における在庫管理は属人的であり、単品管理がされていない状態でした。
そのため、商品発注は売り場を目視でチェックして必要な商品を選ばなければなりませんでした。
さらに、中古の釣具買取は手書き伝票を作成しており、在庫データに反映されていませんでした。古物取引は取引年月日と古物の特徴、お客様の氏名等を記録し3年間保管する必要があるため、書類管理も煩雑になり、これも現場の業務負担が大きくなる要因になっていたと考えられます。
プロジェクトの要件定義においては、手作業中心の業務手順を根本から変更する必要があり、かなりの時間をかけてしっかりと内容を精査していきました。
プロジェクトを進めるにつれて、要件定義中には想定していなかった業務バリエーションが浮上した際は、ミーティングを増やして対応していただき、感謝しております。
単品管理を実現するためには、店舗の全商品を登録する必要がありましたが、全店で開始した段階で、未登録商品が予想よりも膨大であることが判明した時は苦労しました。
基幹システムで管理すべきところと、POSで管理すべきところを振り分けていく作業も、同時進行で進めるプロジェクト特有の困難さを伴っていたかもしれません。
プロジェクト開始からローンチまで、実際にプロジェクトを進行していかがでしたか。
伏見氏:
システムの機能と実際の業務を連携するにあたり、業務自体の方法を変更する必要が生じたこともありました。要件整理や商品登録・データ化に時間がかかった影響により、現場スタッフがテスト機を試す段階で一部機能が未実装であり、その影響でマニュアル作成がローンチ後になるなど困難な状況も多いプロジェクトでした。まだまだ課題はありますが、ひとまず乗り越えることができ1年が経過しました。
リリース開始後は、課題に対して様々なご対応を頂きましてありがとうございました。まずは、データ化の第一歩が会社として踏み出すことができたという点ではよかったと感じています。
ORANGE POSの利用を開始して、実際に使われていかがでしたか。
伏見氏:
現場では、特に、プライスカードの作成スピード向上という意見が挙げられました。
また理論的には、値入・値付業務が容易になり、品出しスピードを高められる機能の盛り込みや、売り場に出て目視で商品在庫を確認しなくても発注できるようになる機能開発により今後、店舗スタッフの業務負担軽減という目標を追求できる仕組みを構築できたのでこれから慣れてくればシステムの利活用を推進することで効率改善につながっていくのではと考えています。
これまでは仕入れのタイミング、各店舗の最大在庫数と安全在庫数といった重要な事柄は、ほぼすべて現場の肌感覚で管理せざるを得ませんでした。
しかし、これからはORANGE
POSの利用でこれらの数字が明確化されたことにより、データに基づいた在庫管理、販売管理ができます。
従来は「売れている感覚」を頼りに商品を取り扱っていましたが、今後は欠品率、原価等を数値化することにより、どの取引先から仕入れるのがもっとも効率的かといった点も含めて四季単位で商品数を調整していけると期待しています。
本部では現在、商品のMAX値を定め、商品数がその値を超えたら仕入れをストップして販売に注力するというフローの策定を進めています。
将来的には、問屋様をはじめとした取引先様各方面と単品管理データを共有して、相互的な仕入れの最適化を実施していく予定もあります。
取引先と情報共有を進めることで、釣具業界におけるDX化成功事例の一つになれれば幸いです。
今後、エスキュービズムに期待することは何でしょうか?
伏見氏: ORANGE POSは、拡張性が大きな魅力の一つになっています。現段階での課題やこれから必要となる業務機能の開発・改修によるニーズに合わせた業務改善につなげていくこと、そしてそれらが会社の発展につながることによってお互いがWINWINな関係になれることが一番だと感じています。
今後の御社の事業展開、業界でのポジショニングや目指したい方向性などをお聞かせください。
伏見氏:
イシグロは、釣りというレジャーを扱う企業です。我々一社の努力でどうこうできることは少ないですが、まずは地域のお客様に釣りを永続的に楽しんでもらえる環境として、リアル店舗の存在意義はあると思っています。また、そのためにも、事業の継続、リアル店舗が存続し営業し続けることが、地域のお客様・ご来店いただけるお客様に対しての一番の還元と考えております。
店舗運営に関しては、人件費をはじめとするコストは上がる一方でしょう。釣具の提供を継続していくためには、これから人口減が加速する社会において、あらゆる面で少しずつ省人化・効率化を進めていかなければならないと考えています。
こうした展望を描けるのも、カスタマイズしやすいORANGE
POSのシステムを導入したからこそですね。今回のプロジェクトで達成された「データ化」をスタートラインとして、得られるデータを徹底的に利活用していくのが次のフェーズになります。
本部では今期のキーワードとして「利活用」を掲げています。システム改修によって得られるデータを最大限に活用できた時、企業としての未来もまた新たなものが見えてくると考えています。