美容業界独自の商慣習に合わせた
ECプラットフォームで美容サロンの
新しいビジネス価値を創出
株式会社ビューティガレージ 様
株式会社ビューティガレージ 様
美容サロンの開業から経営までをワンストップでサポートするビューティガレージが、
美容サロンが“サロン専売品”等を販売する“サロン公式ネットショップ”を構築するためのSaaS型サービス「Salon.EC(サロンドットイーシー)」をリリース。
小さな美容サロンでも簡単に独自屋号の”サロン公式ネットショップ“が立ち上げられます。豊富なデザインテンプレートからサロンの雰囲気に合わせたネットショップを開設でき、コストゼロ・在庫リスクゼロのECサービスを提供します。
エスキュービズムのEC-ORANGEを活用し構築されたBtoBtoCのSaaS型ECプラットフォーム「Salon.EC」は、小規模な美容サロンでも独自ECサイトでサロン専売品を販売できる仕組みとなっています。
美容業界の商慣習に合わせて開発を行い、一般ユーザー向け販売とサロン専売品のクローズドな販売の両方に対応している点が大きな特徴です。
サロン側の管理メニュー画面にもこだわり、使いやすいUIデザインを実装。従来のECサービスにはなかった美容業界特有の機能を持つ、ビューティガレージ社の企業理念を実現したプロジェクトです。
プロ向け美容商材通販最大手の株式会社ビューティガレージが2022年2月に提供開始した「Salon.EC」は、美容室やエステサロンなどの美容サロンが、サロン専売品等を販売するサロン公式ネットショップを開設できるSaaS型ネットショップ構築サービスです。
今回エスキュービズムのEC-ORANGEを活用し、BtoBtoCの新規事業としてローンチされました。美容サロン側はコストゼロ・在庫リスクゼロでECサイトを開設可能で、一般ユーザー向け販売とサロン専売品のクローズドな販売の両方に対応している点が大きな特徴です。株式会社ビューティガレージの執行役員 IT・システムグループ統括戸坂様をはじめ、プロジェクトを推進してこられた岡崎様、冨田様に、新規事業を立ち上げられた経緯から、プロジェクトに関する課題や今後について語っていただきました。
株式会社ビューティガレージ様の事業内容についてお聞かせください。
戸坂氏: 美容業界はこれまで様々な障壁があり、無駄なコストやロスが発生しやすい状況が続いていました。ディーラーや二次代理店等などによって流通構造が複雑化しており、美容サロン側が大きな負担を負っていました。 そこで「美容業界を変えたい」という想いで2003年にビューティガレージを創業、業界初のプロ向けオンラインショップ「BEAUTY GARAGE Online Shop」を立ち上げました。 プロ向け美容商材の物販事業、店舗設計デザイン事業、ソリューション事業を、オンラインショップ、ショールーム、通販カタログ、法人営業という販売経路を使ってお客様である美容サロンに提供するという事業モデルです。 現在では登録会員数は50万口座を超え、事業領域も物販のみならず、美容サロンの開業・経営支援まで幅広く行っています。
プロジェクトが開始された背景、経緯を教えてください。
戸坂氏:
当社の掲げるミッションが「美容業界に新しい価値を創造し、サロンビジネスの繁栄に貢献する」です。
そのために、サロン様の必要なものをすべて当社で用意したいと考えています。
物販であれば器具・大型機器から化粧品、消耗品まで幅広くカバー、サロンの開業もサポートしますし内装デザイン、施工も行います。
規模を拡大したいサロン様向けにはM&Aなどのお手伝いもしています。多様なメニューを用意する中で、提供できていなかったのがサロン様独自のECサイトを構築するサービスです。
岡崎氏:
美容業界独自の商慣習として「サロン専売品」という、一般流通に乗らない美容サロンの店頭のみで販売できる商品があります。これまではサロン専売品を店頭販売することによって、通常の施術にプラスアルファとしてストック型の収益を上げることができていました。
しかし近年ECの進展と共に、大手モールサイトなどでサロン専売品が流通するようになり、店頭需要ではなく自店以外のECサイトで購買されてしまうということが常態化しています。美容サロン専売品のビジネスモデルが徐々に崩れ、収益が上がらないという点が美容業界、美容サロンの課題となってきたのです。
そこで、来店されたお客様に対して専売品を自店のECで堂々と販売できるプラットフォームを作り、サロン専売品の売上をきちんと美容サロン様に還元するためのタッチポイントとすることが、当社のミッションの実現にもつながると考えました。
戸坂氏: 店舗紹介や予約を行うための公式サイトは持っていても、独自に物販用のECサイトを持っているサロン様は少ないですし、仕入れや発送、商品掲載などのEC運用業務は店舗スタッフにとって大きな負担になります。そのため、卸販売をしている当社がECのプラットフォームを提供し、エンドユーザーに商品を直送できれば利便性が高く、新しい価値創造につながるのではないかということで、数年前から構想を練ってきました。
プロジェクトを推進する上でどのような課題がありましたか。
冨田氏: 一番大きな課題は、サロン専売品と呼ばれるものへの対応方法でしたね。
岡崎氏:
「来店されたお客様だけに美容サロン専売品を販売する」という美容業界独自の商慣習をどのようにECサイトに落とし込むかについて、世の中にまだないシステムでしたので、ビジネス上の課題がシステムの課題にもなりました。
また、美容サロン様個別のECサイトをそれぞれ構築するとなると、膨大な数の小さなECサイトを作ることになると想定されました。
サロン様、開発ベンダーさん、当社など関係者がすべてビジネスとして成立させるには普通のECシステムやECパッケージではおそらく採算が取れないだろうと。
戸坂氏:
美容サロン様はブランドイメージも大切にされますので、独自のデザインやECとしての見栄えが必要というところも課題となりました。
個別のECサイトを一つのプラットフォームで提供し、さらにデザイン面でもサロン様に納得いただけるものを用意しなくてはなりませんでした。
これらの課題を解決しつつ、うまく仕組化できないかと長年考えていましたが、なかなか手段がなく模索を続ける中で、エスキュービズムのサービスであれば実現ができるのではないかという結論に至り、プロジェクトが開始されました。
エスキュービズム、EC-ORANGEを知ったきっかけと決め手を教えてください。
戸坂氏:
サービスを立ち上げるにあたって、国内でEC構築の実績があり、できればコンサルタントと開発を両輪でやっていただける会社を探していました。その中の一つがエスキュービズムさんでした。
候補の企業すべてからお話を伺いましたが、初回打合せを終えて、次の商談時には早速デモを見せてくださったことや、
希望要件を実現する方法を一緒に考えてくださったことなど、フットワークの軽さと話の早さが決め手になりました。社内でのEC-ORANGEの認知度が高かった点もポイントでしたね。
また、EC-ORANGEはPHP7/Laravel(ララベル)、MySQLという一般的な技術のため、もし何かトラブルがあってもエンジニアを探せば途中で断念することなく最後まで完成できるのではないかと思えたことも安心材料の一つでした。
フレームワークの選定が他社さんに比べて多かったというところも決め手となりました。
冨田氏: 提案してくださった企業さんの中で唯一、エスキュービズムさんだけが「この予算では御社の求めるサービスはできない。これだけのビジネスを叶えるのであれば、これだけの費用とこういった仕様が必要です」と提案があったことも好印象でした。
開発プロジェクトの進行はいかがでしたか?苦労された部分などはありますでしょうか。
戸坂氏:
まず定例でMTGを行い、課題や検討事項を持ち寄り次週までにクリアしていくというやり方はとてもやりやすかったです。特に前半の要件定義書はとてもわかりやすくまとまっており、イメージがしやすかったですね。
ただ当社はユーザー企業のため、設計書レビューや結合試験など開発が進むにつれていくつもハードルがあり、そのたびに苦労しました。
冨田氏: 当初社内のプロジェクトメンバーは多くいましたが、ECの開発は大変ということもあり最後までついてこられるメンバーがいなかった点も大変でした。社内のメンバーが脱落しても、PMなどキーになるポジションの方が並走してくださったため、しっかり進行できたと思っています。
岡崎氏: 要件定義の部分において、作りたいプロダクトのかたちが最初の段階で定まっておらず、二転三転した挙げ句決まったところでひっくり返されることもありました。そんなことがあったにも関わらず、これならいけるというものがまとまるまで様々なアイデアをご提案いただき、そのお陰で今はきちんとサービスがリリースできています。かなり柔軟にお取り組みいただいたなと、非常に感謝しています。
戸坂氏: 予期していなかったところでは、要件定義の段階で御社のインフラ設定は私が経験してきた中で一番しっかりしていたので非常に驚きました。インフラの専門会社にお願いしていると思えるほど良い設計だったと思います。
サービスを開始してみていかがでしょうか。機能面で満足している部分や実際に利用されているスタッフの方のコメントなどをお聞かせください。
戸坂氏:フロントだけでなく管理画面もデザインをきっちり当て込んでいただけて、一般的なECサイトに比べ使い勝手がとても良いメニュー画面になっていると思います。
要件定義が二転三転してようやくカタチになったところもあるため、完成後にサロン様や当社スタッフが実際に使ってみて、気が付いた改善点が非常に多いです。 ECサイトは細かい改善の積み重ねが非常に重要だと思っていますので、スタッフの声を改善要望と捉え、より良いサービスになるよう今後に活かしていきたいと考えています。
冨田氏: しっかり美容業界の商慣習に合わせて開発をした関係で、従来のECサービスにはなかった業界特有の機能というものをいくつか開発し実装できており、登録をいただいたサロン様からは「業界のために考えて作ってくれたことが伝わる」と高評価をいただけています。
一般的なECサイトにはない美容業界特有の機能とはどのようなものでしょうか。
冨田氏: ECサイトなのでモノを売るためのサイトなのですが、「モノを買えなくしている機能」が多いことが特徴です。 一般流通している商品やメーカーさんの制約が少ない商品は価格をオープンに表示していて一般会員の方でも買えますが、サロン専売品は価格を非公開にしていますし、カートにも入れられません。 不特定多数の誰もがアクセスして買えるというかたちになるとサロン専売品への対応ができなくなるため、普通にアクセスしても買えないECサイトになっています。
ご検討されていることや今後エスキュービズムに期待することなどあれば教えてください。
戸坂氏:国内のECサイト大手から専門店まで手掛けているエスキュービズムさんに対して、ECとしてやりたいことを具現化する提案をしていただけることに期待したいです。 例えば今回はECサイトを立ち上げましたが、スマホで購入されるお客様が多いことや、管理機能を全てスマホ側で見たいという要望はサロン様からも出てくると思います。 限られた画面サイズの中で限られたUIをどう配置するかなど、ぜひエスキュービズムさんの知見で解決策の提案をいただければと思っています。
今後の事業展開、業界でのポジショニング、目指したい方向性を教えてください。
戸坂氏:今後の事業展開については、サロン様に「ECサイトを立ち上げるならSalon.EC」と言っていただけるような、業界スタンダードのポジションにしていきたいと考えています。全社的には、美容業界にIT革命をもたらし、このサービスをきっかけに美容業界をさらに変えていければと思います。
※2022年2月の情報です。
※取材は感染症予防のためオンラインで行われました。